公務員というのは、これまでは柔軟性がなく、杓子定規に物事を考える、いわゆるお役人様だったと思います。
しかし、時代は少子高齢化と人口減少による閉塞感に覆われて、今後の公務員は、前例にとらわれない自由な発想と積極的な行動力が求められていると思います。
そんなフットワークの軽い行動的な公務員を育てるうえで、副業を一部認めるという動きが、まだまだごく少数ですが始まっており、やる気のある公務員の副業を、「福業」と位置付けて、支援していこうという動きもあります。
そこで、今回はそんな公務員の副業を後押しする3つの出来事を紹介します。
公務員の副業を後押しする動き
社会全体の生産性を高める「働き方改革」
公務員に限らず、社会全体で副業が注目を集めている理由は、政府が推進する「働き方改革」であることは言うまでもありません。
今後、人口減少と少子高齢化が進むため、労働者が自由に働ける環境を整備することで、日本全体の生産性を高めることを目的としています。
「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。
具体的には残業時間の上限を設定して、働き過ぎによる過労死を防止することでワークライフバランスの実現を図っています。また、兼業・副業を促進することで、企業や創業を支援する方向を描いています。
国家公務員の兼業を後押しする「未来投資戦略2018」
そもそも国家公務員は、国家公務員法104条によって兼業をする場合は制約を設けています。
国家公務員法
職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣およびその職員の所管庁の長の許可を要する
しかし、政府が閣議決定した「未来投資戦略2018」において、国家公務員の公益的活動等を行う兼業については、容認することを示唆しています。
・国家公務員については、公益的活動等を行うための兼業に関し、円滑
な制度運用を図るための環境整備を進める。
全国の首長も応援する【望ましい「公務員の福業」ガイドライン】
国家公務員だけでなく、地方公務員についても副業を後押ししています。全国の知事や市町村長が構成する「首長連合」という全国組織が、公務員の副業を後押しするために、【望ましい「公務員の福業」ガイドライン】を提案しています。
このガイドラインの中で、後押しする副業を「福業」と定義して、積極的に応援していこうという中身になっております
地域に飛び出す公務員を応援する首長連合は、地域に飛び出し、地域の一員として活動に取り組む公務員を増やすため、営利企業等への従事の許可基準による線引きを示すだけでなく、これらの活動を「福業」と称し、その望ましいかたちについて提案するものである。
なお、このガイドラインについては、過去の記事で触れていますので、興味がある方はご覧ください。
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実際に、地方自治体では奈良県生駒市、神戸市、長野県などの自治体では、公益的な分野における副業を認める動きが出ています。
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このように政府や自治体単位で、今後ますます、公務員の副業を容認、支援する流れが広がっていくと思います。
これまで決められたことだけやっていれば良いという後ろ向きな流れから、アクティブに挑戦する公務員にとっては、非常にやりやすい時代になっていくことでしょう。
副業と福業の違いは?
では、そんな副業も大きく2種類に分けることができます。その一つが、株式投資や不動産投資、農業といった営利を目的とした「副業」です。
一方で、今後は単なる営利目的ではなく、非営利型の公益目的の副業である「福業」を後押しする流れもあります。
副業と福業の違い
目的 | 具体例 | |
副業 | 営利 | 株式投資・不動産投資・農業・ブログ等 |
福業 | 非営利・公益 | ボランティア・地域活動・NPO活動 |
副業の種類であれば、いくつもジャンルがあり、下記の記事で紹介しています。ただし、年間20万円以上稼ぐの確定申告が必要となったりしますので、注意が必要です。
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ボランティアといっても、ある程度であれば謝礼を受け取って良いとなっており、有償ボランティアやNPOならば、社会貢献もできて良いのではないでしょうか。
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