地方自治体において、少しずつ「公益性の高い」副業を解禁していく動きが広がりつつあります。
まだまだ行っている自治体の数に限りがありますが、一つが神戸市役所であり、もう一つが、今回紹介する奈良県生駒市です。
では、生駒市が副業を許可する場合はどのような場合でしょうか?今日はその許可基準について、生駒市のホームページを参考に解説したいと思います。
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公益性の高い副業のメリットとデメリットについては、下記の記事でまとめています。
生駒市が公務員の副業を解禁した背景
生駒市は人口は5万人台の、地方自治体にすぎないのですが、この副業解禁によって一気に全国から注目集めることとなりました。
では、原則副業を禁止している公務員が副業を解禁した背景にあるのは、全国的にも問題となっている人口減少と、それに伴う地域の担い手不足です。
実際に、生駒市のホームページでは、以下のように言及しています。
より一層厳しい自治体経営が予測される少子高齢化時代にあって、持続可能なまちづくりを進めていくためには、市民と行政が互いの立場を認識し、自覚と責任を持ってそれぞれが役割を担い、協働しながら地域課題を解決していくことが必要である。
職員が、職務外に積極的に地域貢献活動に参加すれば、市民参画は進み、市民との協働によるまちづくりがより一層活発になることが期待できる
地域の担い手不足に対応する側面からも、普段から地域コミュニティに精通している公務員に積極的に地域に溶け込んでもらうために、制約となっている副業禁止規定を緩和したわけですね。
どんどん公務員が地域に出て行くことで、地域活性化が高まっていくことが期待できます。
具体的にできる副業メニューは?
副業を解禁したからといって深夜アルバイトや早朝新聞配達までOKしたわけではありません。具体的に許可した副業としては、地域貢献につながるNPOや、ボランティア、部活動コーチといったものです。
生駒市の場合は、以下のような条件を設定しています。
次の要件をすべて満たす活動であること。
(1) 公益性が高く、継続的に行う地域貢献活動であって、報酬を伴うもの。
(2) 生駒市の発展、活性化に寄与する活動であること。
もちろん、これらの条件に合致している活動に従事したときに報酬をもらってもOKです。
許可に当たったの審査基準は?
実際に副業を始めるまえには、人事課に対して申請をしなくていけません。その際に重要となるのは、副業を認めてもらえる審査基準です。
(1) 勤務時間外、週休日及び休日の活動であり、職務の遂行に支障を来たすおそれがないこと。
(2)地方公務員法第33条に規定する信用失墜行為の発生のおそれがないこと。
(3)活動先の団体等と生駒市との間に特別な利害関係が生じるおそれがなく、かつ特定の利益に偏することなく、職務の公正の確保を損なうおそれがないこと。
(4)報酬は、地域貢献活動として許容できる範囲であること。
(5)生駒市内における活動であり、生駒市の発展・活性化に寄与する活動であること。
(6) 営利を主目的とした活動、宗教的活動、政治的活動、法令に反する活動でないこと。
やはり、営利主体となる活動は生駒市といえど、してはいけないようですね。
実際に生駒市役所の職員はどんな副業をしているか?
では、具体的に生駒市役所職員はどのような副業をしているのでしょうか。実際に、やっている副業としては、地域のサッカー教室のインストラクターのようですね。
「子供たちの命と教育に携わる」消防士とサッカーコーチの“二足のわらじ”…奈良・生駒市の副業解禁第1号
生駒市で“副業解禁第1号”となった吉尾大輔さん(33)の本業は、市消防本部に勤める消防士。市民生活を守る重責を担うかたわら、地元のサッカークラブでコーチとしての顔を持つ。
生駒市出身。「命がけの仕事」にやりがいを感じて消防士を志し、平成22年4月に採用された。翌年3月に発生した東日本大震災では、応援部隊として宮城県内の被災地で捜索活動などに従事した。現在は消防士長として、火災や救急救助の現場で昼夜を問わず奮闘する毎日だ。
一方、消防士になってからも「地域の子供の成長を見守りたい」との思いは捨てがたかった。3交代制で勤務する合間を縫い、週に1日程度、大学時代にアルバイトしていた地元のサッカークラブ「F.C.GOLEIRO」で指導。ボランティアだったこれまでとは違い、昨夏からは報酬を受け取るようになり「身が引き締まる」と話す。
将来的には、小学生のチームで監督ができるライセンスの取得も目指している。
子供たちは練習中、「最近、火事あったん?」などと気軽に声をかけてくるといい、チームでは「近所のお兄ちゃん的な存在」(吉尾さん)だ。
「子供たちの命を守り、教育にも携わっていける。自治体と市民を結ぶパイプ役として地域貢献できれば」。今後も“二足のわらじ”を履き、地元のために駆け回る。
現在は地域貢献、公益性の高い事業のみが公務員に許されていませんが、今後は、業務に支障がでない、信用失墜行為につながらないような副業、具体的にはブログやネットビジネスも認められる方向となれば面白いかもしれませんね。
参考サイト
ちなみに、公務員ができる副業のジャンルは、案外いろいろあります。副業について、興味がある方は、まとめ記事を書きましたので、そちらもご覧ください。
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