公務員が副業したいなら絶対知っておくべき営利企業等従事申請書とは?

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本ブログでは副業のジャンルについて、これまで書いてきましたが、今回は基本中の基本である、実際に副業を行う場合の許可申請の手続きについて書きたいと思います。

なお、今回の方法はあくまで「正攻法」であるので、実際に許可が下りるかどうかは別問題ですので、ご注意ください。

 

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営利企業等従事許可申請書を知っていますか?

 

これはどの自治体でも同様なのですが、公務員が副業をする場合は、「営利企業等従事許可申請書」を提出する必要があります。

 

その法的根拠は、各自治体にある必ず存在している「服務規程」の縛りがあるからです。たとえば、三笠市であれば、三笠市長事務部局職員服務規程において義務付けております。

 

(営利企業等の従事制限)
第6条 職員は、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第38条第1項及び三笠市職員営利企業等従事制限規則(昭和42年規則第15号)第2条の規定により、営利企業等に従事するための許可を受ける場合は、営利企業等従事許可申請書(別記第1号様式)を市長に提出し、許可を受けなければならない。

 

営利企業に従事することが、いわゆる副業をすることとほぼ同意味ですので、仮に副業する場合は提出する必要があります。

 

具体的には、外部から報酬を得る場合は、事前に人事課に提出して申請をしておかなければなりません。

 

申請をしたからといって許可されるわけではない

 

仮にアフィリエイトを副業として行いたいと思って営利企業等従事申請書を提出したとしても、必ずしも認められるわけではありません。

 

職務に影響がない、休日のみ行うと説明したとしても、公務員がアフィリエイトを副業として認められる確率は、限りなく低いでしょう。

 

確かに法的には、公務に支障がないと主張するとしても、基本的に前例がないので、認めないでしょう。

 

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また、申請することで、逆に人事課に目をつけられるリスクも高まるので、申請することで逆に自分の首を絞めることになるかもしれません。そのように考えると、副業の申請は諸刃の剣といえるでしょう。

 

審査基準はどのようになっているのか?

 

公務員が副業を申請して認められる確率は低いにしても、その審査基準はどのようになっているのでしょうか?参考に大石田町の審査基準を見てみます。

(許可の基準)
第3条 任命権者は、法第38条第1項の規定により営利企業等に従事するについて職員から許可の申請があったときは、次の各号の一に該当する場合を除きかつ、法の精神に反しないと認められる場合に限り許可することができる。
(1) 職務の遂行に支障を及ぼすおそれのある場合
(2) 職員が勤務する機関又は職員が占める職と、兼ねようとする地位又は従事しようとする事業若しくは事務との間に特別な利害関係があり又はその発生のおそれがある場合
(3) 国又は他の地方公共団体の職員の職を兼ねる場合において勤務時間の重複の度が頻繁にわたるとき

 

この審査基準を一言でいえば、職務の遂行に支障がでる恐れがあれば許可しないよ、という意味です。

 

 

恐れがあると考えるのは、あくまで人事課ですので、1%でも疑義があれば認めないうえ、前例がないとなれば認めないことが当たり前ですので、やはり正攻法で申請したところでやっぱり無理そうですね・・・。

 

なので、法的にOKであることを徹底的に争う覚悟がなければ、黙ってやるのが一番ベターでしょう。

公務員でも認められる副業はあるのか?

 

結局、人事院規則上、公務員でも認められる副業のジャンルは以下のものに限ります。

 

(1)株式投資・・・資産運用であるので副業に該当せずOK
(2)不動産投資・・・一定の範囲内でOK
(3)農業・・・OK、ただし不特定多数に販売するのはNG
(4)太陽光発電・・・一定の範囲内でOK

 

したがって、アフィリエイト、せどりといった副業は人事課の許可を受けないとダメですし、許可申請書を出したところでダメ、いずれにしても認められる副業のジャンル以外はダメ、ということです。

 

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人事課も副業許可を出すような副業ジャンルはこれだ

 

公務員の中には、どうしても人事課に許可をもらって正々堂々副業をしたいという人もいるでしょう。

 

では、上記以外にも人事課も認めてくれそうな副業はないか、と考えると、以下のようなものが許可される確率が極めて高いです。

 

たとえば、講演会の講師として招かれて講演料をもらう場合です。

 

当然、講演会の趣旨、内容によって左右されますが、それが消費者問題、社会保険制度、財政制度等公務に関係する範囲内であれば高い確率で認められます。

 

加えて、その講演が1回限りといったように反復するものでなければOKでしょう。

 

実際私も学校に呼ばれて講演をする機会がありましたし、謝礼も若干いただけました。これは人事課もOKしてくれました。

 

次に自費出版して印税を得るという方法です。

実際に大阪府は一定許可できる余地を与えています。

 

相談室 営利企業等の従事制限について

以下のような場合には許可をすべきでないと考えます。
・「1.職務専念義務との関係」として、休日に本の制作、出版に従事しているのであれば一般的には問題はないと考えられますが、この場合でも職員Aの職務への集中力の散漫が認められるなどの場合
・「2.職務の公正の確保」として、職員Aが職務において、当該本を購入するといった特別な利害関係が発生する場合
・「3.職員の品質の維持」として、本の内容が性風俗などの職員及び職務の品位を損なうような場合
 なお、許可に関する上記の事例は単なる一例であり、実際の許可に当たっては上記3つの基準に照らし、具体的に検討するこ
とが必要となります。

 

職務に影響せずに、利害関係の発生しない範囲で、品位を損なう書籍以外ならば、許可する、ということです。これはあくまで大阪府として方針ですが、おそらく、ほかの自治体もこれに横並びの判断をするでしょう。

 

 

具体的にいえば、野鳥の本や、ジョギングのハウツー本といった職務に影響しないですし、利害も関係ないので認めてもらえるでしょう。

 

最後にNPO法人のスタッフとして報酬を得る、というものです。

 

実際に神戸市はNPOスタッフのような、社会性の高い副業を認めるという方針を打ち出しています。

職員の副業推進へ新基準=外部で経験、サービス向上狙い-神戸市
 神戸市が4月から、NPO団体など公共性の高い組織での職員の副業を推進するため、許可基準を新たに設けることが3日、分かった。公務で培った知見を地域貢献活動に生かすとともに、外部での経験を市民サービスの向上につなげるのが狙い。
 市によると、公務員の副業推進を目的に独自の基準を設けるのは珍しい。
 基準には、社会性や公共性が高い▽特定団体の利益供与に当たらない▽勤務時間外▽常識的な報酬額-を明記。ソーシャルビジネスの起業や、NPO団体での社会貢献活動に従事しやすくする。(2017/03/03-12:26)

したがって、営利追及ではなく、社会性、公益性の高い副業を実践することは公務員らしくてよいかもしれませんね。

 

公務員を取り巻く環境は、年々に変化しています。したがって、従来の公務員倫理規程に縛られることなく、社会性、公益性の高い分野については副業を認める動きがあるように、職務に関係ない範囲は副業を認めるような動きになればよい、と副業公務員である私は考えています。

 

同じく有償ボランティアとして広く浸透している治験についても、公務員であればその公益性から認められる可能性が高いでしょう。治験や有償ボランティアについては、下記の記事で詳しく解説しています。

 

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