【副業公務員必見】首長連合の【望ましい「公務員の福業」ガイドライン】とは?

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時代は変わりつつあり、公務員は役所だけでなく積極的に地域に出ていくことが求められています。そのような環境を見据えて、全国の知事や市町村長から構成する首長連合が、公務員の副業に関するガイドラインとして、【望ましい「公務員の福業」ガイドライン】を提案しました。

あまり、ニュースにはなっていないようですが、副業をしたい、もしくは、実際に副業を行っているという公務員にとっては、参考になる内容だったので紹介することとしました。

 

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そもそも首長連合とは?

ここでそもそも論ですが、この【望ましい「公務員の福業」ガイドライン】を作成したのが首長連合(正式名称:地域に飛び出す公務員を応援する首長連合)という団体です。

平成23年に発足し、会の目的は、会の名前の通りで地域に飛び出して活躍するような公務員を支援するための組織であり、発起人に全国の知事や市町村長が名前を連ねています。ちなみに現在の代表は、平井伸治鳥取県知事です。

 

発起人

古川康(佐賀県知事)、阿部守一(長野県知事)、尾崎正直(高知県知事)
嘉田由紀子(滋賀県知事)、吉村美栄子(山形県知事)、中村法道(長崎県知事)
平井伸治(鳥取県知事)、上田清司(埼玉県知事)、中村時広(愛媛県知事)

牧野光朗(長野県飯田市長)、椎名千収(千葉県山武市長)
西澤久夫(滋賀県東近江市長)、白倉政司(山梨県北杜市長)
神田強平(群馬県上野村長)、小坂泰久(千葉県酒々井町長)
多次勝昭(兵庫県朝来市長)、久喜邦康(埼玉県秩父市長)
谷畑英吾(滋賀県湖南市長)、竹内昰俊(福島県会津坂下町長)
井原巧(愛媛県四国中央市長)、野村昌弘(滋賀県栗東市長)
片山健也(北海道ニセコ町長)、倉田哲郎(大阪府箕面市長)
仲川げん(奈良県奈良市長)、樋渡啓祐(佐賀県武雄市長)
山下真(奈良県生駒市長)、露木順一(神奈川県開成町長)
岡村幸四郎(埼玉県川口市長)、安田公寛(熊本県天草市長)
荒木義行(熊本県合志市長)、井上俊昭(新上五島町長)
國定勇人(新潟県三条市長)、白石勝也(愛媛県松前町長)
石田耕太郎(鳥取県倉吉市長)、戸田善規(兵庫県多可町長)
田上富久(長崎県長崎市長)、板原啓文(高知県土佐市長)
大西秀人(香川県高松市長)、仁志田昇司(福島県伊達市長)

 

ただ、すでに古川康さんは佐賀県知事を辞任して国会議員になっており、あまりホームページの更新がされていないのかもしれません。(ただのチェック漏れか?)

 

活動としては、年に1度のペースで首長サミットというイベントを開催し、地方自治体の地域活性化につながる事例を表彰する「地域に⾶び出す公務員アウォード」や、各自治体の首長が会談をする「首長サミット」を行っています。

 

地域に⾶び出す公務員アウォード 2018受賞活動一覧

氏 名所 属 名活 動 名
筒井 加奈高知県庁地元の戦国武将を通じて地域活性化を!
西澤 公太福井県 福井市役所福井市提案型勉強会!
秋田 大介兵庫県 神戸市役所須磨ユニバーサルビーチプロジェクトを全国に広め
小野寺 達弥北海道 更別村役場街をサンタでいっぱいに! 病気と闘う子供たちへ
プレゼントを贈る
河村 将雄静岡県庁静岡の自治会組織を第三者視点で支援「里山くらし
LABO」

 

全国的にもやる気のある首長が多く参加しており、住民とのパートナーシップなどに関心があることが活動内容から窺えます。

そんな首長連合が提案したのが、今回のテーマである【望ましい「公務員の福業」ガイドライン】です。

 

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望ましい「公務員の福業」ガイドラインとは?

 

では、さっそくガイドラインの中身を確認します。

 

望ましい「公務員の福業」ガイドライン

望ましい「公務員の福業」ガイドライン(第1版)

1 ガイドライン提案のねらい
地域の人口が減少し、地域活動への担い手不足が恒常化する中、公務員がこれまで
の経験を活かしながら、または、新たな知識を得ながら、地域の一員として地域活動に励み、住民との協働による地域づくりや活動を通じて得られる住民の視点を自治体施策に活かせるようになる「地域に飛び出す公務員の活動」は、これからの地域づくりにとって大切である。

しかし、公益目的で正当な対価としての報酬を得て行う活動であっても、一種の「副業」と捉えられ、営利企業等への従事制限に抵触するおそれから、許可されない場合も少なくない。

そこで、地域に飛び出す公務員を応援する首長連合は、地域に飛び出し、地域の一
員として活動に取り組む公務員を増やすため、営利企業等への従事の許可基準による線引きを示すだけでなく、これらの活動を「福業」と称し、その望ましいかたちについて提案するものである。

「福業」のねらいは副収入ではなく、働き方改革も踏まえ、「福業」から学んだこ
とが本業の意識向上につながると考えることによるものである。

 

2 ガイドラインの方向性
このガイドラインは、「地域に飛び出す公務員」が活動に取り組みやすくするため
の環境を整えるために示すものであり、このガイドラインを参考にして、趣旨に賛同する自治体がそれぞれのガイドラインを定めることを妨げるものではない。

このガイドラインは、今後も、「地域に飛び出す公務員」や地域の声に耳を傾けな
がら見直すことを前提としており、必要に応じて改正していく。

3 望ましい「公務員の福業」とは
(1) 時間外の活動であること
・本務は勤務時間内に効率よく行い、時間外に行うのが「福業」。もちろん、休暇を取得しての活動も含む。また、長時間労働にならないよう、勤務時間に影響を及ぼすことのないように、自己管理も必要。

・自治体は、「福業」を促進するため、「福業」のための休暇制度を充実していくことも必要。

 

(2) 活動目的が非営利であること
・非営利目的の活動が「福業」。非営利とは利益を上げないことではない。構成員の経済的利益を追求し、団体の利益を構成員で分配するのではなく、団体の次の活動の資金に充てるような活動であれば「福業」である。
・自治体は、団体の活動に疑義があれば、団体の年間の収支決算報告を受け、営利活動でないことを確認する。

 

(3) 報酬の金額や性質が適当であること
・「福業」ではボランティアとして交通費や弁当代を受けるのみならず、団体の収入規模に照らして、また、その業務内容に応じて適正な金額の報酬を受けることができる。なお、節度ある講演料、原稿料などの「謝礼」については受け取ることができる。
・自治体は、報酬金額の報告を受け、公務員倫理の観点も踏まえ適正な金額であることを確認することが必要。

 

(4) 雇用関係がないこと
・「福業」では、団体との雇用関係は結ばない。
・自治体は、団体との関係に疑義があれば、活動する団体と雇用関係を結んでいない旨の誓約を受ける。

 

(5) 公務員としての中立公正、品位を保持していること
・本務と利害関係のある団体での活動は「福業」とは言えない。公務員としての中立公正、品位を保持することは、次の「飛び出す公務員」を増やすために最低限守るべきルール。

・自治体は、団体との関係に疑義があれば、活動する団体が本務と利害関係のある団体ではないことの誓約を受ける。

 

4 「公務員の福業」を行うにあたって大切にしたいこと
(1) 活動を理解し合うため、また、「公務員の福業」を活発にしていくため、職場内でよく話し合いましょう。
(2) 健康だからこそ「福業」ができます。健康管理にくれぐれも留意しましょう。
(3) イキイキと「福業」をする姿が、「地域に飛び出す公務員」の仲間を増やすことにつながります。イキイキと楽しくやりましょう!

平成 30 年 11 月 17 日
地域に飛び出す公務員を応援する首長連合
代表 鳥取県知事 平井伸治

 

このガイドラインの注目する点は、これまで兼業禁止というルールのために、地域に飛び出して事業に参画することができなかったため、ガイドラインを整備することで、地域づくりや活動に公務員が参画しやすくしたいという考えがあることです。

単なる営利目的ではなく、地域住民との交流を通じて、職員の成長と地域活性化につなげることを目的とし、これまでの収入目的の「副業」ではない、「福業」という定義をしている点も注目できますね。

 

福業ガイドラインの評価できる点と惜しい点

評価できる点

副業ガイドラインは、これまでの杓子定規な公務員の兼業禁止というルールに一石を投じるという点で、非常に意義があると思います。

それも、首長という自治体のトップが参加する首長連合が提案しているという点が、今後、全国的な公務員の兼業禁止というルールの法改正の可能性を感じさせます。

私自身も、これからの公務員は法制度の中、組織の中で閉じこもるのではなく、積極的に新しいことに挑戦し、外部の人脈を作る前向きな公務員がこれからの時代に求められると思いますので、このガイドラインの理念は共感します。

 

惜しい点

一方で、目的は職員の資質向上という点ですので、非営利が基本となっています。もちろん、謝金という形で一定の収入を得られる余地がありますが、基本的には無報酬でしょう。

私自身が行っている副業は、あくまでも複数の収入源を得る「複業」であり、やはり一定のリターンを得ることを目的としています。

私自身は、これまで株式投資やブログ副業、仮想通貨投資など、幅広く副業を行ってきましたが、職員としての資質はどうかわかりませんが、実際に自分のアイディアでお金を稼ぐという体験は、非常に意義があると思います。

特に普段売上や広告、マーケティングといったことを意識しない「役人様」には経験できないができることが副業の魅力です。

なので、今回のガイドラインについても、一定の職務専念義務や職員倫理に反しない限りであれば、営利目的の副業も認める余地もあってよかったのかな、と思います。

公務員の副業にも営利目的でいいんじゃない?

今後、人口減少で税収が伸び悩むことから、公務員の給与を含めた待遇が下がることはやむを得ないことかもしれません。

なので、これまでのようにただ国から補助金を引っ張ってくるといった利益誘導型の行政スタイルから、自分たちで収入を作る、ビジネス型の行政スタイルが求められると思います。

クラウドファンディングや庁舎に広告を掲載する広告ビジネスなど、これまでの行政の枠にとらわれないスタイルが重要になると考えています。

なので、営利目的の副業を通じて、公務員の「商人マインド」を育てることは十分に意味があると思います。

ゼロから1万円の利益を生み出す苦労、集客するための試行錯誤など、民間サラリーマンなら経験している苦労を、副業という形で経験することは、職員の資質向上につながるでしょう。

 

[関連記事]

まだまだ非営利目的でも、公務員の兼業については慎重な自治体が多い中で、生駒市や神戸市はかなり進んでいると思います。

まだまだ制約はあるものの、今後、規制緩和が進めば、公務員の可能性も広がると思います。

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