寝屋川市役所が、全国初の試みとして、「完全」フレックスタイム制を導入することになりました。基本的に勤務時間が条例などで決められている公務員の世界では画期的な試みとして、にわかに注目を集めています。

「別にフレックスタイム制って、すでに他の自治体でもやってなかったっけ?豊田市とか?」

「完全」フレックスタイム制と普通のフレックスタイム制って何が違う?
そうなんです。フレックスタイム制自体は、実はすでに豊田市や横浜市などの一部の自体では導入されており、珍しいことではありません。
しかし、今回寝屋川市が導入したのは「完全」フレックスタイム制であり、全国の自治体では初というわけです。
そこで今回は、寝屋川市が導入した完全フレックスタイム制について解説したいと思います。
フレックスタイム制は豊田市も導入済み
今回寝屋川市が導入したのは、「完全」フレックスタイム制ですが、すでに豊田市が2017年にフレックスタイム制を導入しています。
豊田市役所におけるフレックスタイム制度の実施について
昨年度、フレックスタイム勤務を一部の職場で試行した結果、豊田市職員のワーク・ライフ・バランスの確保につながるなど効果が得られました。つきましては、フレックスタイム制度を以下のとおり本格的に実施します。
なお、条例改正を伴うフレックスタイム制度の導入は、県内市町村では初となります。
豊田市が導入したフレックスタイム制は、午前7時から午後10時の間であれば、各職員が自由に就業時間を設定できるものですが、午前10時から午後4時までは、必ずすべての職員が勤務しなければならない時間帯をコアタイムとして設定するスタイルです。
1か月ごとの総勤務時間数を定め、公務の運営に支障がないと認める場合、各職員が午前7時から午後10時までの間で、勤務日の始業・終業の時間帯(フレキシブルタイム)を選択できる制度です。
(備考)ただし、午前10時から午後4時までは、必ず勤務しなければならない時間帯(コアタイム)として設定します。(育児や介護を行う職員の場合は、午前10時から午後2時まで)
つまり、コアタイム時間以外であれば、早く登庁して、早く退庁することもでき、逆二遅く登庁することもできるわけです。子育てや介護をしている多用なライフスタイルに配慮していて良いといえます。
しかし、今回寝屋川市が導入したのは、さらに柔軟に職員が勤務時間を設定できる「完全」フレックスタイム制です。では、完全フレックスタイム制とは何でしょうか?
寝屋川市が導入した「完全」フレックスタイム制とは?
先ほどのフレックスタイム制と完全フレックスタイム制の違いは何かというと、コアタイムというものが無いという点です。寝屋川市の場合は、1カ月当たりの総勤務時間の範囲内で、自由に1日あたりの勤務時間を決めることができるわけです!
つまり、寝屋川市はコアタイムという概念を取っ払って、職員に自由に勤務時間を決められる裁量を委ねたということです。
フレックスタイム制のメリットとデメリット
フレックスタイム制は民間企業では、導入している企業も多いものの、お役所の世界ではまだまだ前例がありません。
そんなフレックスタイム制のメリットは以下のようなものがあります。
フレックスタイム制のメリット
・子育てや介護の時間を確保 ・残業の抑制 ・通勤時間の分散化による混雑の回避 |
これまでのように、同じ時間に出社して、同じ時間に退社するというのは、いかにも前近代的な働き方であり、現在のようにライフスタイルが多様化した時代では、もはや通用しなくなっていると思います。
時代遅れと言われがちの役所だからこそ、フレックスタイム制の導入は今さら感がありますが、導入する意味は十分にあるといえます。
一方で、まだまだ自治体では導入実績が少ないものの、フレックスタイム制を導入した自治体ではデメリットもあります。
フレックスタイム制のデメリット
・窓口職場など部署によっては導入できない ・職員間のコミュニケーションの希薄化リスク ・進捗管理が苦手な職員は向いていない |
戸籍や税証明を発行する部署については、なかなかフレックスタイム制を導入することは難しいかもしれませんが、職員間で調整する必要がありますね。
一方で、夜の地域の会合が多い部署などは、あえて勤務時間をずらしても良いでしょうし、早朝出勤が多い市場関係の部署は早く出社して、早く帰れますね。
完全フレックスタイム導入の背景には働き方改革
なお、フレックスタイム制の導入には、現在の寝屋川市の広瀬慶輔市長も所信表明で強く決意表明をしています。
広瀬慶輔市長の所信表明
また、中核市・寝屋川市の第一幕をスタートさせるにあたり、本市のその新たなまちづくりを担う公務員の働き方改革をこの寝屋川市から全国に発信してゆきたいと考えます。
民間のフレックスタイム制度などをベースに、より自由で弾力的な勤務時間を選択でき、それぞれの、その時々の、多様なライフスタイルに合わせることの出来る制度を実験導入してまいります。これにより、新たな採用を行う上での本市としての付加価値となる効果に加え、中途で退職される方、休職される方などをより少なくしてゆくという効果も見込みます。
この所信表明からわかるように、公務員にも多様なライフスタイルに配慮して、柔軟な働き方を実現する目的があったということですね。
そもそもフレックスタイム制自体は、他の自治体も先行して導入していましたが、寝屋川市役所はもう少し踏み込んだ形で完全フレックスタイムを導入したのは、公務員の働き方に一石を投じる面白い実験といえます。
ネットの反応は上々
この寝屋川市の取り組みについては、割と好意的な意見が多いようにみえます。
完全フレックスもすごいけど、再チャレ制度は本当に素晴らしいと思います。
自分が大学生だったら寝屋川市受験してたかも笑 https://t.co/c8v74jTrWW— Nakanishi Akinori (@aki_askom) August 12, 2019
働き手不足はどんどん職場環境も変えていく。良いこと。/大阪・寝屋川市が完全フレックス制導入 10月から、全国初 – 毎日新聞 https://t.co/02caeZLkGk
— 木下斉/Hitoshi Kinoshita (@shoutengai) August 11, 2019
全国で最初だからすごい。
これが2番目ならニュースにならない。最初にする
↓
注目される
↓
公務員にはなりたい
働き方を変えたい人が集まる
↓
優秀な人が採用できる最初にするのはリスクがあるけど、メリットも大きい
寝屋川市が完全フレックス 全国初 – https://t.co/8o3xurKWvg
— ショー@地域体感宿"玉村屋"/複業ワーカー (@sho881112) August 12, 2019
自治体でもフレックス制導入なら、中小企業でもどんどん入るだろうね。
大阪・寝屋川市が完全フレックス制導入 10月から、全国初 (2019年8月9日) – エキサイトニュース https://t.co/TO0679o87U
— パリピ人事🎉 (@niwachan214) August 11, 2019
硬直化しやすい役所組織だからこそ、多様な働き方を推進していく姿勢が重要です。
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自治体によっては、生駒市や神戸市のように公益的な副業を積極的に推進しているところもあります。

公務員の出産支援という意味では、仙台市の取り組みも注目です。先進的な自治体の取り組みがもっと広がってくれたらいいですけどね。
