「もう公務員なんて、つまんないし辞める!!」
と考えている公務員が一定数存在しているようですが、案外、雇用保険について知らない職員がいることに最近気づきました。
「公務員退職しても、しばらく失業手当をもらいながら就職活動するわ」
と思っているならば、その考えはヤバいですよ!というのは、そもそも公務員は失業手当をもらえないことをご存知でしたか?
そもそも、毎月の給与明細から雇用保険料が天引きされていないですよね?
雇用保険の基本知識
失業手当について語る前に、そもそも失業手当の大本にある雇用保険について簡単に説明します。
雇用保険は、雇用保険法に基づく労働者の失業した場合や、失業後に職業訓練を受ける場合のセーフティーネットしての社会保険です。
雇用保険に似た社会保険として、労災保険というものがありますが、これは就業中の事故や災害に巻き込まれたときに補償するためのものです。なお、この労災保険と雇用保険をまとめて、労働保険と呼びます。
もちろん、社会保険なので毎月、雇用保険料を支払います。計算式は以下の通りです。
雇用保険料 = 毎月の給与総額× 雇用保険料率 |
平成30年の雇用保険料率が労使負担で0.9%であり、内訳が事業主が0.6%であり、労働者が0.3%となっています。よって、年収400万円の労働者の場合は、年間の労働者が払う雇用保険料は12,000円です。
そんな雇用保険の一番の魅力は、会社を退職したあとにもらえる「失業手当」です。細かい説明は省きますが、もらえる失業手当の金額は日額で上限額が決まっています。
平成30年度では、以下のような上限額となっています。(あくまで上限額です)
離職時の年齢 | 基本手当の上限額 |
---|---|
29歳以下 | 6,710円 |
30歳~44歳まで | 7,455円 |
45歳~59歳まで | 8,250円 |
60歳~64歳まで | 7,083円 |
また、この基本手当はもらえる期間は、会社都合で退職した場合、自己都合で退職した場合によってもらえる期間が異なります。
(会社都合退職)
雇用保険の加入期間 | 1年未満 | 1年以上 5年未満 | 5年以上 10年未満 | 10年以上 20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|---|---|
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | – |
30歳以上35歳未満 | 120日(90日) | 180日 | 210日 | 240日 | |
35歳以上45歳未満 | 150日(90日) | 240日 | 270日 | ||
45歳以上60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳以上65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
(自己都合退職)
雇用保険の加入期間 | 10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
全年齢 | 90日 | 120日 | 150日 |
このようにみると、自己都合で退職すると、もらえる期間が短いことがわかると思います。また自己都合退職の場合、失業手当も退職してから、3ヶ月は待たされます。
とはいえ、この雇用保険の失業手当は、公務員は関係ないのです!
公務員は失業手当がもらえないのか?
では、なぜ公務員は失業手当がもらえないの?という質問をずばり国会議員が質問していました。
公務員は原則として雇用保険の適用除外となっている。理由は何か。
国家公務員及び地方公務員については、法律によって身分が保障されており、民間の労働者のような景気変動による失業が予想されにくいこと等の理由から、雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)の規定の適用が原則として除外されている。
そうなんです。公務員は民間労働者と同じく、失業しにくいから!というのが、雇用保険に加入できない理由なのです。
実際、雇用保険法第6条を見てみます。
(適用除外)
第六条 次に掲げる者については、この法律は、適用しない。
一 一週間の所定労働時間が二十時間未満である者(この法律を適用することとした場合において第四十三条第一項に規定する日雇労働被保険者に該当することとなる者を除く。)
二 同一の事業主の適用事業に継続して三十一日以上雇用されることが見込まれない者(前二月の各月において十八日以上同一の事業主の適用事業に雇用された者及びこの法律を適用することとした場合において第四十二条に規定する日雇労働者であつて第四十三条第一項各号のいずれかに該当するものに該当することとなる者を除く。)
三 季節的に雇用される者であつて、第三十八条第一項各号のいずれかに該当するもの
四 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条、第百二十四条又は第百三十四条第一項の学校の学生又は生徒であつて、前三号に掲げる者に準ずるものとして厚生労働省令で定める者
五 船員法(昭和二十二年法律第百号)第一条に規定する船員(船員職業安定法(昭和二十三年法律第百三十号)第九十二条第一項の規定により船員法第二条第二項に規定する予備船員とみなされる者及び船員の雇用の促進に関する特別措置法(昭和五十二年法律第九十六号)第十四条第一項の規定により船員法第二条第二項に規定する予備船員とみなされる者を含む。以下「船員」という。)であつて、漁船(政令で定めるものに限る。)に乗り組むため雇用される者(一年を通じて船員として適用事業に雇用される場合を除く。)
六 国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用される者のうち、離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が、求職者給付及び就職促進給付の内容を超えると認められる者であつて、厚生労働省令で定めるもの
雇用保険法の適用除外として、しっかり明文化されていますね。なので、これから公務員辞めて、失業手当をもらいながら就職活動をしよう!と思っている人はご注意ください。
※ただし、公務員でも臨時職員や非常勤特別職については、雇用保険に加入していますので、退職後に退職手当がもらえます。
公務員は失業手当の代わりに退職手当がもらえるけど・・
「えー、いくら公務員が失業リスクが低いからといって、失業手当が出ないなんて、不公平だ!」
そんな歯がゆい思いを抱いている人もいると思いますが、その代わり、公務員は退職時に退職手当が支給されます。
公務員がもらえる退職手当については、国家公務員の場合は、「国家公務員退職手当法」に基づいており、地方公務員は各自治体の条例に基づいています。
ちなみに退職手当は、以下のような計算で算出できます。
退職手当額 = 基本額 + 調整額 基本額 = 退職日給料月額 × 退職理由別・勤続年数別支給率 調整額 = 調整月額のうちその額が多いものから 60 月分の額を合計した額 |
基本的に勤続年数によって決まるので、若手で退職しても大した金額はもらえません。しかし、最近は退職手当が官民格差の是正の名のもとに削減されつつあります。
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これまでは失業手当がでなくても、それを上回る退職手当が出るから安心だ、としていましたが、状況は変わりつつあります。
公務員をやめたくなる気持ちもわかりますが、失業手当がでないし、若くして辞めても退職手当も期待できないという現実を直視した方がいいですね。
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公務員を辞めて、民間企業で高給を求めて転職するのは、その分デメリットもありますので、冷静な判断が重要になります。
また民間企業に転職する以上に、ブロガーやアフィリエイターになるという選択肢も極めて危険です。繰り返しになりますが、冷静になりましょう。
私自身は、公務員をやめずに、合法の範囲内で株式投資や外貨預金などで収入増につなげていくことがおすすめです。
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