官民格差の解消の名のもとに、次々と公務員の身分が改悪されつつあります。
これは公務員にとっては、当然嬉しいことではありません。
年金だけでなく、退職手当もカットされるところをみると、本当に公務員も自己責任で老後をしていかなくてはならない時代になっているということです。
退職後といっても、最近、退職年齢が65歳に引き上げられたのですが・・・今までが公務員は恵まれていた身分なのだから、仕方ないと思う人もいますが、本当にそうでしょうか?
そもそも、公務員が雇用保険に加入できないことを知っていましたか?
雇用保険対象外の公務員だけの退職時のセーフティネットは?
ここで、退職手当3%ニュースを振り返ります。
東京新聞:国家公務員、退職手当3%減額 民間との格差解消:政治(TOKYO Web)
政府は十九日、国家公務員の退職手当を3・37%減額する方針を固めた。民間企業を上回っている格差を解消するためで、二〇一五年度に退職した人への支給水準でみると平均約七十八万一千円の減額となる。来年一月から適用する方向で、関連法改正案の国会提出を目指す。地方公務員の退職手当も、国に準じて減らすよう自治体に条例改正を求める。
国家公務員の「退職給付」は退職手当と、企業年金に当たる共済年金の上乗せ分で構成する。人事院は今年四月、一五年度の官民の退職給付を比較し、国家公務員は平均計二千五百三十七万七千円で、民間を3・08%(平均七十八万一千円)上回ったとの結果を公表。安倍晋三首相らに見直しを求めていた。
政府は今回、退職手当の引き下げで退職給付全体の格差を解消する。退職手当は、月給や勤務年数に応じた基本額に調整率を掛けるなどして算出する仕組みで、この調整率を変更する。
政府は、ほぼ五年ごとに実施される人事院の調査を受け、官民の水準を調整。前回の法改正では退職手当を14・9%減額することを決め、一三年一月から段階的に実施した。
当時、自治体もこれに準じたが、大幅な減額だったため、一部で定年を控えた職員の駆け込み退職が相次いだ。今回は引き下げ額が比較的小さく、政府は同様の問題は起きにくいとみている。
公務員ならご存知ですが、給与水準は民間と比べて高いわけではありません。
それに知らない人も多いので、あえて触れると、公務員は失業手当がありません。
公務員は雇用保険の対象外なのです。
雇用保険法
(適用除外)第六条 次に掲げる者については、この法律は、適用しない。
六 国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用される者のうち、離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が、求職者給付及び就職促進給付の内容を超えると認められる者であつて、厚生労働省令で定めるもの
雇用保険法では、公務員は失業手当がもらえない代わりに、国家公務員は「国家公務員退職手当法」に基づいて、地方公務員は各自治体の条例に基づいて、退職手当が支給されます。
今回の退職手当3%カットは、この国家公務員退職手当法の改正をしますよ、という意味であり、私たちのような地方公務員は、条例を改正しなさいよ、と政府が求めているわけです。
国家公務員退職手当法
(趣旨)第一条 この法律は、国家公務員が退職した場合に支給する退職手当の基準を定めるものとする。
(この条例の目的)第1条 本市に勤務する職員が退職(死亡による退職を含む。)をしたときは、この条例を定めるところにより、その者又はその者の遺族に、退職手当を支給する。
今までは、雇用保険に加入しなくても、退職手当法もしくは退職手当条例があるから、別に問題はありませんでした。
しかし、今回の改正は退職時の公務員のセーフティネットが改悪されたわけです。
国家公務員であれば、2537万円もらえた退職手当が、78万円もカットされてしまうということです。
官民格差の解消というならば、民間給与が上がるような経済政策を政府は実行するべきではないかと思いますがね。
今後も公務員の給与が引き下げされる改悪時代が来る??
今回は退職手当が引き下げられましたが、今後、月最高27,000円もらえる住居手当も削減される恐れがあります。
ちなみに昔は、どの自治体にも持ち家手当というものがあったらしいですが、そんな自治体はほぼありません。
公務員給与を決定する人事院勧告の天の声があったからです。
公務員給与と民間給与との比較の結果を踏まえ、月例給について、公務と民間との間の較差を解消するため、月例給の中心である俸給の引下げを行うとともに、自宅に係る住居手当を廃止することとした。
この家賃手当以外にも、残業代にあたる時間外手当も削減されるリスクがあります。現在であれば、変に残業せずに土日に残業するだけで稼げてしまうのですが、この手法も無理になるかもしれません。
退職手当に、共済年金と次々と公務員の身分は改悪されつつあります。
本当はココで自治労のような労働組合が頑張るべきですが、もはや力はありません。
そもそも労働組合は、公務員という自治体労働者の雇用条件の改善を図っていくために、役所の執行部と交渉等を通じて活動するわけですが、それも組合員全体の運動が広がらなければインパクトもなく対して雇用環境は変わらないわけです。
実際に組合交渉の現場ではかつて、70年代などは怒号がなどが飛び交い、大勢の組合員が執行部を追求していた非常に緊迫していたそうですが、現在はそんなことなく、組合員が仕方なく動員されて、役所の執行部も眠たそうに対応する、そんな感じになってしまいました。なので、組合交渉自体がそのような状況では、組合は要らない、という組合不要論が台頭します。組合費を月々数千円払って、給与は上がらない、人事院勧告はおろか執行部も動かせない、ましてや行革の流れで職員は減っていく、これは組合の怠慢ではないかと。。。
政府も労働組合も頼れないとなると、最後は自力で自分の経済的身分は死守するという気概が必要となりますね。
幸いにも共済年金が改悪された代替として、公務員も確定拠出年金が解禁されました。
私自身も確定拠出年金でコツコツ積み立て投資をすることで、含み益を確実に積み重ねつつあります。
ほったらかしで、含み益を積み重ねて、なおかつ節税にもなるので確定拠出年金は、私のようなものぐさの面倒くさがり公務員にもよい投資物件だと思います。
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確定拠出年金のような節税と積み立て投資を、若いうちが実践することが必要となってきます。
基本給、勤勉手当、住居手当、時間外手当、そして、今回の退職手当・・・公務員も自分のお金は自分で守るというサバイバル時代に突入しました。
今の50代、60代はいいでしょう。
しかし、20代の入庁したての公務員は・・・・すべて自己責任です。
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