ネット上のデマ情報で多いのが、会計年度任用職員は退職手当がもらえないというものです。これは誤解か何かわかりませんが、いずれにしても、会計年度任用職員が「フルタイム」と「パートタイム」に分かれていることを理解していないことから生まれるものだと思います。
正確には退職手当がもらえる会計年度任用職員と、そうでない職員がいる、ということです。また、退職手当の関係で雇用保険(失業保険)がどうなるか、という点について解説します。
退職手当が出るのは「フルタイム」だけ
いきなり結論ですが、退職手当が出るのはあくまでも「フルタイム」の会計年度任用職員だけです。というのは、会計年度任用職員マニュアルの中でも、しっかり明記されているからです。
○ 退職手当
退職手当については、常時勤務に服することを要する職員について定められている勤務時間以上勤務した日が18日以上ある月が、引き続いて6月を超えるに至った者で、その超えるに至った日以後引き続き当該勤務時間により勤務することとされているものは、職員とみなして、退職手当を支給することとされており(職員の退職手当に関する条例(案)第2条第2項及び職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例(案)(昭和37年9月29日自治丙公発第20号)附則第5項)、この支給要件を満たす場合には、各地方公共団体の条例に基づき適切に支給する必要があります。
常時勤務という言葉をフルタイムと読み替えると、1カ月あたり18日働く期間6カ月以上ある場合は、退職手当が支給されることになります。なので、6カ月以上働いたフルタイム会計年度任用職員は退職手当が出るわけですね。
なお、公務員の退職手当の計算式は以下のようになります。
退職手当=基本額(退職日の俸給月額×退職理由別・勤続年数別支給率)+調整額
会計年度任用職員は3年まで再任できるので、勤続年数は3年でしょうか。前もって自治体の人事課に確認しておいた方がいいですね。
「パートタイム」は雇用保険から失業手当が出る
「えー、フルタイムは退職手当出るのに、パートタイムはもらえないのは、なんかズルいなぁ・・」
と思うかもしれませんが、ご安心ください。パートタイム職員の場合は、雇用保険に加入することができるので、失業手当を受け取ることができます。
ちなみに雇用保険の適用基準は以下のようになっています。
(1) 31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること。具体的には、次のいずれかに該当する場合をいいます。
期間の定めがなく雇用される場合
雇用期間が31日以上である場合
雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇止めの明示がない場合
雇用契約に更新規定はないが同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績がある場合 ( 注 )
[(注)当初の雇入時には31日以上雇用されることが見込まれない場合であってもその後、31日以上雇用されることが見込まれることとなった場合には、その時点から雇用保険が適用されます。](2)1週間の所定労働時間が 20 時間以上であること。
なので、パートタイム職員の場合はハローワークから失業手当が支給されるので、良かったですね。
計算式ですが退職前の6カ月間の賃金日額と、年齢ごとの給付率で決まりますので、お近くのハローワークに問い合わせると良いでしょう。
フルタイムは「雇用保険」の適用除外!
ここでまとめると、フルタイムは「退職手当」が役所からもらえて、パートタイムはハローワークから「失業手当」がもらえます。ということは、フルタイムは雇用保険の適用除外となるということです。この扱いは、正規公務員と同じですね。
マニュアルの中でも明文化されています。
なお、「○ 退職手当」に示す要件を満たし、職員の退職手当に関する条例(案)の適用を受けるに至った場合には、適用を受けるに至ったときから被保険者とならないこととなりますので留意ください。
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雇用保険から適用除外となるということは、以下の雇用保険からの給付が受けられなくなります。
・育児休業給付金
・教育訓練給付金
・高年齢雇用継続基本給付金
・介護休業給付金
とはいえ、教育訓練給付金以外は、共済組合から支給されるのでご安心ください。個人的には資格取得などで使える教育訓練給付金が使えなくなるのが残念ですが。
なので、一面だけとらえて、「退職手当がもらえない!」「失業手当がもらえない!」と大騒ぎする前に全体で見た方がいいということですね。
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