これまでの臨時職員や一般職非常勤職員は、2020年から会計年度任用職員に移行していくわけですが、大きな待遇面の変化でいえば、福利厚生制度の面といえます。
具体的には、年金や健康保険については、厚生年金保険と協会けんぽだったものが、フルタイムの会計年度任用職員は、共済組合の加入となり、地方公務員共済組合法の適用となる点です。
ということは、会計年度任用職員の方も、共済組合の組合員になれるということですね。
そこで今回は会計年度任用職員が共済組合に加入できる理由や、共済貯金や共済貸付といった制度について解説します。
共済組合の簡単な説明
そもそも、2020年から会計年度任用職員が加入する共済組合について簡単に説明すると、公務員や教職員が加入する社会保険を運営する団体のことです。主な役割はずばり、「年金」と「健康保険」の保険料の徴収と給付等です。
ちょっとこれだけではわかりづらいので、公務員以外の人が加入している社会保険と比較してみます。
健康保険 | 年金 | |
公務員 | 共済組合 | 共済組合 |
民間サラリーマン | 全国健康保険協会 | 日本年金機構 |
自営業者(無職) | 市町村(国保) | 日本年金機構 |
なお、公務員はかつては共済年金という別の制度で、平成27年度で厚生年金と一元化されたので、現在は厚生年金となりましたが、運営自体は同じく共済組合となっております。このように年金と保険の運営者は、その人の職種によって異なります。
基礎的な話はこれまでにして本題に戻ると、会計年度任用職員は共済組合の加入となります。
共済組合に加入できるのはフルタイムの会計年度任用職員だけ
共済組合に加入できるのは、フルタイムの会計年度任用職員だけとなります。
というのは、共済組合に加入できる職員というものは、「地方公務員等共済組合法」で決められているからです。
(組合員の資格の得喪)
第三十九条職員となつた者は、その職員となつた日から、それぞれ第三条第一項各号又は第二項に規定する組合の組合員の資格を取得する。
職員となったものは、共済組合員としての資格を取得します。では、職員とは何か?といえば、それも条項で示されています。
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一職員常時勤務に服することを要する地方公務員(地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第二十七条第二項に規定する休職の処分を受けた者、同法第二十九条第一項に規定する停職の処分を受けた者、法律又は条例の規定により職務に専念する義務を免除された者及び常時勤務に服することを要しない地方公務員のうちその勤務形態が常時勤務に服することを要する地方公務員に準ずる者で政令で定めるものを含むものとする。)をいう。
常時勤務に服するという点が最大のポイントです。常時勤務に服するということは、具体的にどれぐらいの期間か?ということは、地方公務員等共済組合法施行令に示されています。
五 常時勤務に服することを要しない地方公務員のうち、総務大臣の定めるところにより、常時勤務に服することを要する地方公務員について定められている勤務時間以上勤務した日(法令の規定により、勤務を要しないこととされ、又は休暇を与えられた日を含む。)が引き続いて十二月を超えるに至つた者で、その超えるに至つた日以後引き続き当該勤務時間により勤務することを要することとされているもの
総務大臣の定めるところ?という感じですが、ご安心くださいこれも、「地方公務員等共済組合運用方針」において、しっかり明文化されています。
第2条第5号に規定する「常時勤務に服することを要する地方公務員について定められている勤務時間以上勤務した日(法令の規定により、勤務を要しないこととされ、又は休暇を与えられた日を含む。)が引き続いて12月を超えるに至つた者」は、雇用関係が事実上継続していると認められる場合において、常時勤務に服することを要する地方公務員について定められている勤務時間以上勤務した日が18日以上ある月が、引き続いて12月を超えるに至つた者とする。
やっと、ここで答えが出ましたね。つまり、1日あたり7.45時間で、18日働く月が12カ月あれば、2年目以降からは共済組合の資格が手に入るということですね。
一方で、パートタイム1日あたり7.45時間未満の職務となるので、どうしても法律の範囲外となるんですね。
パートタイム会計年度任用職員は、協会けんぽと厚生年金
フルタイムは共済組合に加入できますが、パートタイムについては、これまで通り健康保険は協会けんぽで、年金は厚生年金の加入となります。なので、大きな変化はありません。
確かに共済組合は、後述するように組合員限定の有利な福利厚生制度があり、パートタイムは利用できないのはちょっと残念ですね。
共済組合の組合員だけの2つの豪華特典
ではでは、共済組合員に晴れてなることができたフルタイム職員は、共済組合限定の特典があります。ずばり、以下の二つです。
・高金利で積立できる「共済貯金」 | ・低金利で借りれるフリーローン「共済貸付」 |
これらは、今までは臨時職員はもちろん、非常勤職員は利用できませんでしたが、共済組合員となれる会計年度任用職員であれば、利用することができます。
共済貯金は、現在、預金金利が0.001%の時代において、年間利率1%で積立貯金することができる、公務員限定のお得商品です。
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また、逆に公務員がお金を借りる場合は、実質フリーローンなのに、1%ちょっとで借りることができる共済貸付は、お得です。なので、大型家電や旅行に行くときは、利用することができます。
こういった共済組合員だけの特典が使えるのは、フルタイム職員の方の処遇改善ではありますね。このように、給与面や休暇制度ばかりクローズアップされますが、共済組合員ということも要チェックですね。
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共済組合員になれないパートタイム職員ですが、実はパートタイム職員の強みがあります。やはり、時間にゆとりがある職員は強いですね。