このブログは副業禁止の公務員だからこそ、できる範囲で副業をして将来に備えましょう!というのがテーマです。
そもそも、公務員がなぜ副業をする必要があるのか?
その理由は簡単。
今回の記事のテーマでもありますが、これからも公務員、特に地方公務員の待遇は下がることは不可避だからです。
理由1 人口減少で歳入が下がるから
公務員も忘れがちなのが、私たち公務員の給与は国民の税金から出ています。
ということは、私たちの給与は歳入(税収)次第です。
歳入を左右する要因は、以下の3つに制約されています。
・納税者の数
・税率
・GDP
しかし、ご存知の通り、日本の人口は笑っちゃうぐらい右肩下がりです。
納税を担う労働年齢人口(15歳から64歳)は、1990年をピークにダダ下がりです。
人口減少は、納税者の減少となるため、歳入は下がります。
そこで、納税者の減少を補うために、一人当たりの税率を上げることで補おうとします。
しかし、税率を上げる・・・最近の例でいえば消費税率を10%に上げてしまうと、消費が冷え込むことになり、結局、税収は下がってしまう。
つまり、人口減による税収減を、税率を上げてもGDPに悪影響が出て、結局税収が下がるわけですね。
このように歳入が下がる大きな要因は、いろいろありますが、やっぱり大きい要因は人口減少です。
現在の日本の政治において、人口減少を食い止めることが、最大の課題となっていますが、しかし・・・
理由2 人口減少を食い止めることができないから
もう忘れている公務員も多いかもしれませんが、かつて「地方創生」という国策が、鳴り物入りで始まりました。
地方創生の趣旨としては、地方が工夫を出し合って、人口減少に歯止めをかける
というものでした。
ほとんどの自治体が、地方創生の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、いかに地方から人口減を防ぐか、ということを目指しました。
が、結局のところ、既存事業の単なる焼き直しパッケージばかりとなってしまいました。
高すぎる人口増の数値目標ばかりが踊り、結局のところ、現状において人口が東京圏に集まっていく構造は変わっていません。
しかし、地方議会は知ってか知らず、職員のやる気不足、工夫不足を議会で追及するだけです。また、国もKPIの達成ばかりを求めます。
こうして、達成もできない人口増のKPIだけ残り、なんとなく達成したような、していないような感じですね。
もうほとんどの地方公務員はわかっています。
人口減少は、もはや地方の努力では変えられない
だからこそ、国が大胆な財政出動を行うとともに、地方への税源と権限委譲を行う構造改革を同時並行で行うべきですが、あまり進んでおりません。
理由3 政府が大企業や富裕層への負担を求めないから
歳入が下がる場合の対策は、以下の方法が考えられます。
・納税者を増やす。
・税率を高める。
・控除を削る。
・GDPを高める。
この中で最近の日本政府が行う方法は、「税率を高める」というものです。
具体的には、消費税もしくは消費税のような社会保険料(国保料や介護保険料)を高めるという方法です。
しかし、ここで税負担の原則を思い出すと、「応能負担」(負担できる人が負担する)という考えと、「応益負担」(サービスを受ける人が負担する)というものがあります。
現在の日本政府は、応能負担より応益負担を強く求める傾向が強いと思います。
例えば、消費税は建前上は社会保障費の財源に充てることとなっているため、社会保障の恩恵を受ける国民に消費税という形で税負担を求めています。
しかし、消費税増税は社会保障のためは、あくまで建前です。
有名な話ですが、消費税率を上げる一方で、法人税を下げることで、結果的に、法人税減税の穴埋めを、消費税が補填している税制の構造となっております。
本来であれば、担税力に勝る大企業に負担を求めることで歳入確保に努めるところですが、そうはなっていません。
日本の路線は、大企業を優遇し、営業利益を伸ばすことで、GDPを拡大させて税収増を図る目論みなのでしょうが、利益が伸びても減税してしまえば意味がありません。
もちろん、法人税を節約した分で賃金が上がれば、税収は増えるのでしょうが、賃金自体も上がっていません。
賃金が上がらなければ、消費も増えないので、もちろんGDPも増えません。
結局のところ、大企業を優遇しても日本国としての恩恵はあまり無いようですが、現在の政権は、この税制路線を変えることはないようです。
理由4 歳入が下がって歳出削減しか手段が無いから
理由1から理由3までは、歳入の話をしましたが、歳入が増えない以上は、歳出削減しか手段は無くなってしまいます。
歳出といった場合、大きく分けると4つの分類できます。
・社会保障(年金や医療)
・地方交付税等交付金(地方自治体への配分)
・国債(借金返済)
・その他(防衛予算や公共事業)
やっぱり予算の中で、社会保障がダントツにウェートを占めていますが、同様に国債費も2番目に割合が高いですね。
社会保障費と国債費の歳出は削減することが難しいです。
よって、歳出削減の標的となるのが3番目に割合が大きい「地方交付税等交付金」つまり地方自治体への配分です。
そして、地方交付税等交付金が下がることで、削減の標的となるのが「身を切る改革」ということで、地方公務員の給与というわけです。
財務省も地方交付税を下げる理由を探しており、以前、地方自治体が蓄えた基金を理由として、地方への配分を下げることを示唆したこともありました。
麻生太郎財務相が全国知事会長らに噛み付いた!地方も怒りが収らない 争いのタネは「貯金」!?
国の借金が増える中、麻生氏ら財務省側が「地方には余裕がある」として地方交付税の削減をちらつかせるのに対し、地方側は「基金は将来不安を解消するため」「地方財政の実態を踏まえていない」などと猛反発。
今後も、政府の財務省や財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会を中心に地方自治体に負担を求める傾向は変わらないでしょう。
税収を大企業や富裕層でなく、一般国民や地方自治体といった層に求めていくのが、今の政権のスタンスであるということを踏まえると、地方公務員の待遇が下がることは容易に予想できます。
【まとめ】地方公務員も自己責任の時代へ
このように考えていくと、地方公務員の処遇は悪化していくことは予想できると思います。
実際に退職手当の引き下げや、厚生年金の一元化による共済年金の職域加算の廃止といった形で確実に公務員の処遇は引き下げられています。
関連記事
さらに、会計年度任用職員の本格的導入により、非正規公務員の法整備を進めていることで、今後は会計年度任用職員を地方自治体の主力にしていこうと政府の思惑が透けて見えます。
関連記事
また国家公務員の兼業を政府も後押ししており、これを受けて一部の地方自治体も兼業を認める事例があります。
兼業を認めている範囲は、現在は公益的な事柄に限定されていますが、その公的な範囲というもののラインが微妙です。
このように公務員がNPOや公益法人の役員を兼務することが主流となるかもしれません。
このような2足のわらじが公務員の働き方のスタンダードになるということは、裏を返せば、給与を含めた公務員の待遇を下げることにつながる可能性があります。
しかし、現状の歳出が増え続けている一方で、歳入が増えない現状では、やむを得ないことでしょう。
だからこそ、公務員もできる範囲から副業を始めることで、自身の生活や家族を防衛することが求められることでしょう。
関連記事