「AIで地方公務員は不要になる論」って本当?現役公務員だから言える率直な意見

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こんにちは。典型的なアナログ公務員の私です。

 

最近、巷ではAIが流行っていますね。CMでも猫も杓子もAI、AIって感じです。とはいえ、AIの導入が普及すれば、革命的に社会が変わる可能性は非常に高いですし、AIによって、私たち人間の労働が奪われるかもしれません

 

しかし、この「AIによって仕事奪われる言論」って、最近はあまり聞かれなくなった「地方消滅論」のように、徒らに不安を煽る言論のように感じますし、そもそも、このような不安をあおる言論の大半は、結局「地方」ではなく「東京発」ですよね。

 

そんなAIによって仕事奪われる論は、私たち公務員にも向けられており、「AIで公務員は不要になる論」に波及しています。特に公務員でも、国家公務員ではなく、「AIで地方公務員は不要になる論」へと悪魔的に進化しています。

 

正直な話、余計なお世話!!!と感じているのですが、変に真に受けて焦燥感に駆られている公務員(特に若手)が多いので、このAIで「公務員は不要になる論」について言及したいと思います。

 

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そもそもAIって何?

 

AIの専門家でもない人間がAIを語るのは、非常に「お門違い」感があるのですが、一言でいえば、「人間に代わって、仕事や作業をしてくれる技術」と理解すればいいです。

 

有名なものは、アメリカのテスラモーターズの自動運転技術です。地方では、自動車は必須の資格と言って過言ではありませんし、正直、地方公務員で運転免許を持っていないと、移動できる部署が限られてしまうというデメリットがありますね。

 

 

しかし、このテスラモーターズの自動運転技術があれば、人間が運転しなくても移動が可能という画期的な技術です。

自動運転技術だけでなく、今後は、「料理」や「店舗スタッフ」「農業」といった形で人間が担っていた仕事が、すべてAIで代替可能というのです。

 

参考記事

【最新】AIの活用法は?身近な例からビジネスシーンまで解説!|Udemy メディア
突然、上司から「うちの企業でもAIを導入したいから企画案を練ってくれ」と言われる方もいるかと思います。そのような方のために、今回はAIのビジネスでの活用方法についてまとめました!実際にどのようにAIが使われているのかを知り、自身の企画案とマージしましょう!

 

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「AIで地方公務員の仕事が不要になる論」とは

 

いろんな仕事がAIで代替可能ということは、当然これまで従事していた人間は、職を失います

 

たとえば、地方公務員でいえば、給食の調理員の現業職員は、AIが料理をするようになれば、不要になるという理屈ですね。また、ごみ収集の清掃作業員も、パッカー車の運転も収集もAIやロボットに取って代わられてしまう可能性もあります。

 

もちろん、私のような事務職員も例外ではなく、これまでの文書事務、契約事務といった事務仕事もAIが判断できてしまうわけですね。

 

国家公務員のように、法案を企画し、国会議員や全国の都道府県、市町村と調整する一部のエリート官僚を除いて、単純作業(しかしないと思われている)地方公務員は、もはや不要であり、財政難の日本においては、好都合だというわけです。

 

これが巷であふれている「AIで地方公務員の仕事が不要になる論」です。それで、この言論が行き着く先として、今後AI時代に生き残る公務員像を説くわけです。

 

つまり、これからの地方公務員に求められる資質は、以下の3つです。

 

(1)企画立案ができるクリエイティブ能力

(2)多様な人々と調整ができるコミュニケーション能力

(3)組織として目標を完遂できるマネジメント能力

 

確かに、みんながみんな、そのような「地方公務員」になればいいと思いますが、役所を見渡せばわかるように、働きながら職務をしているママさん職員や、病み上がりでメンタルが弱っている職員、コミュニケーション能力不足の職員など、多種多様です。

そんな現状を無視して、AIが幅を利かせている背景には、日本特有の問題があります。それはずばり人口減少です。特に地方は人口減少で、働き手、担い手不足が深刻となっており、その穴埋めとしてAIを使おうというものです。

 

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この人口減少という事実から生まれた「地方消滅論」「自治体消滅論」が、「AIで地方公務員の仕事が不要になる論」後押ししているわけですね。

 

ここでロジックを整理すると、以下の通りです。

人口減少がヤバい。次の担い手がいない

次の担い手を育てる財政的なゆとりもない。むしろ人員を削減したい

AIを使えば、人員の穴埋めにもできるし、人員削減できる!ついでに財政コストも下げられて、一石三鳥だ!!

といったものでしょう。

 

AI導入でも地方公務員の数は減らないと思う理由

ここから、現役職員として、現場で働いているイチ職員としての意見を書きます。

まず、そもそもですが、「地方自治体にAIは普及しない」と考えます。

 

なぜか?簡単な理由で、そもそも地方自治体にAIを導入する余裕がないのです。

 

「いやいや、AI導入したら、人件費も下げられるし、効率も上がって時間外手当も減るし、財政的には有利だよ」と思われるかもしれませんが、違う違う。

 

地方自治体の財政状況は、思っている以上に余裕がなく、社会保障費(扶助費)が増大する一方で、地方交付税の総額である地方財政計画はほぼ変わっていません。地方の財政需要は高まっているのに、国はほとんど面倒見てくれてないんですよね。

 

なので、仕方なく財政調整基金を取り崩して、何とか単年度予算を成立させている状況で、まだ前例に乏しいAIを導入する勇気ある自治体はほぼ無いでしょう。

 

確かに長い目で見たら、AI導入で得られる費用対効果は高いかもしれませんが、それも未知数であり、そもそもAIの維持管理費って高そうですし、普通に職員のマンパワーでやった方がお得ではないかと思うわけですよ。

 

中山間地域の草刈りや、ごみの収集といった肉体労働について、わざわざ最新技術のロボットを導入するのも、結局投資分を回収できなそうですしね。

 

市民対応については、おそらくコミュニケーションということで、AIにも代替できないと思いますが、そんなこといったら、ほぼすべての市町村職場は、住民対応ですので、AIと代替できないです。

と考えると、ビックデータを扱う企画課や財政課といった総務部門系がAIに代替されそうですが、そんな部門は役所のエリートが集まるので、ごくわずかですので、全体で考えれば、そんなに影響ないです。

 

AIに怯えずに住民に向き合って仕事をしていればOK

結局ですが、AIに代替可能な職業というのは、ルーティンワークである程度マニュアルでできる定型業務が主なんですよね。

 

AIは1を100に倍増できても、0からは生み出すことはできません。だから、クリエイティブというわけですが、普通に仕事をしていれば、こうすれば、住民がラクになるなあという工夫も、立派なクリエイティブですし、住民がわかりやすく説明するのもコミュニケーションです。

 

なので、AIをそんなに気にせずに、住民目線でやっていく、そういう泥臭い姿勢がこれからも重要であることに変わらないと思うんですよね。

 

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