保険料は、家計の固定支出を多く占める割には、あまり理解をしていない人が多いようです。なんとなく加入して、毎月支出しているのは、もったいないことですし、保険に関する理解が弱いために、保険会社に多く保険料を払っている可能性もあります。
そんな保険ですが、今回は、公務員になじみのある「全労済」と「自治労共済」にフォーカスして、どちらも公務員に馴染みのある共済組合ですが、違いがいまいちわかりませんし、周りの人も知っている人がいなかったので、本日は説明したいと思います。
まず両者の違いについて説明する前に、前提知識である保険会社と共済組合の違いについて説明します。
共済組合と保険会社の違い
保険とは、人生のリスクをカバーする商品であり、医療保険、生命保険、火災保険、自動車保険、がん保険、学資保険などなど、数多くの種類があって、保険会社、共済組合それぞれ多くのサービスを提供しています。
もちろん、国が提供する健康保険、年金、介護保険などといったものもありますが、それ以上に保障を求める人が、それぞれ民間の保険に加入するわけですね。これら、国の社会保険は全額所得控除になるため、税制上も有利ですし、何よりも国が運営している安心感もありますので、民間の保険は不要という意見もあります。
そんな保険ですが、共済組合と保険会社が提供しています。
まず共済組合ですが、保険会社と違って営利目的ではありません。そもそも、組合の中核は互恵互助の精神であり、企業のような株主への利益還元は目的でありませんので、株主の配当金がない代わりに、保険料は割安であり、割戻金という形で株主ではなく、保険加入者に対してキャッシュバックをしているのです。
一方、保険会社は、営利を出す必要があります。実際にかんぽ生命や、第一生命保険は上場して配当金を出してます。利益を追求しているので、共済に比べて財務的には豊かであり、バンバンCMを流せるわけです。広告も多いですが、同時に商品も多彩です。共済組合は割とシンプルな保険が多いので、保険会社と比べるとバリュエーションは劣ります。
簡単ですが、共済組合と保険会社の違いを解説したところで、ここからは、全労済と自治労共済について、個別に解説します。
割安な掛金で保障はしっかり全労済
正式名称「全国労働者共済生活協同組合連合会」ですが、すべての労働者を対象にした共済組合です。
主力商品はなんといってもこくみん共済であり、安い掛金で死亡リスク、入院リスクなどに幅広く対応しているので、安い掛金で済ませたい人であれば、十分だと思います。
そのほかに、火災保険である「住まいる共済」自動車保険である「マイカー共済」、そのほかにも介護保険の機能がる「新総合医療共済」や、遺族保障を強くしている「新せいめい共済」などがあります。
全労済は大きい組織ですが、主に販売しているのはこの5つ程度です(実際はいくつかありますが)なので、ラインナップは今一つかもしれません。
しかし、そもそも国の社会保険を補う程度であれば、そこまで高い保障を求める必要はないと思っています。
逆にラインナップが多いということは、選択肢も増えることになり、選ぶことも煩雑となりますから、シンプルで良いでのはないかと思います。
公務員限定のお得な自治労共済
大きい役所では、労働組合の組合事務所内に自治労共済の担当者が常駐しているのではないでしょうか。自治労共済は、全労済と同じく営利を目的としない労働者のための共済組合ですが、違いはあくまで、公務労働者、つまり公務員を対象としているということです。
ちなみに、自治労共済は、組織としては、全労済と統合していますので、全労済グループの公務員の職域支部である自治労共済という位置付けです。
したがって、自治労共済は単体では既に存在しておらず、正式には全労済の公務員職域の共済という整理が適切でしょう。
自治労共済のサービス内容はネット上でも見ることできるのですが、パスワード必要です。
ちなみにパスワードは、役所で配布されている自治労共済の裏に記載されています。
自治労共済の提供するサービスは、基本的には全労済と変わりませんが、高返戻金が魅力的な長期共済など、8つの種類があります。
基本的に加入するのは、総合共済と、入院、死亡保障がある団体生命共済でしょう。ちなみに、自治労共済の団体生命共済は、セット共済とも呼ばれていますが、名前の由来は、「死亡」と「入院」をセットで保障するからです。
団体生命共済は、全労済は個人ではなく、団体単位で加入するので、通常の全労済に比べて割安な保険料で加入することができます。
(総合共済)
総合共済は結婚祝い金、退職時に支払われる慶弔金が支払われます。保険料は、月300円です。保障内容は、結婚祝い金が1万円、退職選別金が18,000円などです。詳細は以下の表をご覧ください。
(団体生命共済)
死亡給付、入院保障がついています。保障内容によって保険料は異なります。たとえば、一番安いF型といわれるものが、月3,510円、標準的なH型が付き5,300円となっております。(※なお、団体生命共済に先ほどの総合共済の掛金300円が含まれています。)
私も加入しているH型の保障内容は以下の通りです。
・死亡保障:1050万円
・入院保障:日額4000円(5日以上から、日額16,000円)
・手術共済金:入院日額の40倍、20倍、10倍を支払う。
そのほかについては、以下の表をご覧ください。
長期共済については、過去の記事で言及しているので、そちらをご覧ください。
共済で浮いたお金で投資をしよう
自治労共済と全労済の強みは、なんと言っても割安な保険料です。保険料が安いからとっても、保障はしっかり確保されてます。
確かに保障を多く求めるならば、もっと多額の保険料が必要となりますが、そもそも安定した身分である公務員ならば、全労済や自治労共済程度の保障で十分です。
また、共済の保険では、掛け捨てでは保険料が無駄と喧伝して、貯蓄性の高い終身保険を進める業者が数多くありますが、保険には貯蓄を求めず、保障だけに特化するほうが合理的であり、貯蓄と保障は分離して考えるべきですので、私は養老保険や終身保険ではなく、定額保険(掛け捨て保険)で十分だと思います。
また、全労災や自治労共済であれば、払った保険料のうちから、割戻金という形でキャッシュバックが毎年ありますので、実際の支出は抑えることができます。
直近の全労済であれば、16%がキャッシュバックされましたので、仮に月1,800円、年21,600円の保険料を払っていたとしても、その16%であれば、3,450円ほどは返戻されます。
掛け捨ての保険料で、浮いた分を投資に回す方が、経済的には効果的ではないでしょうか。
医療保障などはおすすめの自治労共済ですが、貯蓄にあたる長期共済はお得ではありませんので、すぐ解約することをおすすめします。
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共済は保険のように貯蓄機能がありませんが、終身保険や養老保険などで、老後の生活を委ねる方が、結果としてリスクが高くなると考えますし、貯蓄については共済貯金や、確定拠出年金、NISAなど、さまざまな方法があるので、それらを実践する方が非常に経済的です。
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