地方公務員を目指すならば「就職」ではなく「就社」を意識するべき理由

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私もこれまで地方公務員を志望する大学の後輩から相談をいくつか受けてきましたが、公務員志望者に欠けている視点があります。

それは、地方公務員は「就職」活動ではなく、「就社」活動であるという視点です。

 

「就社?なにそれ?」

はっきり言って、就社という言葉を知らない時点でヤバいです。

逆に言えば、就社という意識をもって、公務員を志望すれば、採用される確率は高くなるでしょう。

そこで、公務員を志望している人が役立つだろう「就社」について解説します。

 

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日本の雇用慣行「就社」とは?「就職」との違いは?

日本の雇用慣行というのは、なんだかんだで、「終身雇用」と「年功序列」です。

言い方を変えれば、日本の雇用システムとは、「長く働き続ける人ほど、有利になる雇用システム」といえます。

就職というのは、その名前のとおり、「職」をベースに雇用が成立するのですが、日本は「職」という視点ではなく、人材を「組織人」として育てていくわけです。

なので、「職」ベースの「就職」ではなく、組織(会社)人ベースで雇用されるので「就社」と言われるわけですね。

よって、日本では専門知識やスキルに秀でたスペシャリストではなく、広く浅く「つぶしが利く」ゼネラリストを育てるのが日本の雇用システムなのですね。

 

日本で最も遅れている組織は「地方自治体」という事実

 

「そういう日本型雇用システムって古いよ!」

そうなんですよね。公務員を希望しているくせに、日本型雇用システムを否定したり、公務員の働き方に疑問を抱く公務員志望が実に多いんですよね。

確かに、そういう視点は、硬直化しやすい役所組織の活性化という点では、ある意味有益でしょう。

では、ここで公務員志望をしているに、一つ重要な事実を述べておきたいと思います。

 

日本で最も遅れている組織は「地方自治体」ということです。

 

日本の公務員は日本で最も雇用が守られている労働者です。

それゆえに、兼業や副業を厳しく制限しており、職務専念義務を課しているわけです。裏を返せば、職務に専念している限りは、雇用を守るというわけですね。

 

組織人として、組織に忠誠を尽くす限りは守り続けるという姿勢は、非常に昭和の日本企業的ですよね。

現在の大企業を中心に副業や兼業を認めているものの、公務員で兼業を認めている地方自治体はほんの一握りです。

 

地方公務員は、安全な雇用環境と引き換えに、自由な働き方を制限されているのです。

 

地方公務員になりたいなら「就社マインド」に切り替える

地方自治体が就職ではなく、就社と考えるならば、就活マインドを捨てることが大切です。

就活マインドとは、「〇〇ができます」「〇〇が得意です」といった、民間企業が喜びそうなことです。

つまり、就活マインドとは、民間企業で通用するマインドであり、民間企業は「即戦力」を求めており、何か一つに秀でたスペシャリストを求めがちです。

 

一方で、地方公務員になるならば、就社マインドを意識します。就社なので、「〇〇がしたい」よりも、志望する役所ならではのことを押さえておくことが大事です。

公務員になるというという漠然としたことでなく、その役所の取り組み、力を入れていることなどを深く研究しておくことで、面接のときに面接官に響くのです。

 

・総合計画を読んでいますか?

・市長公約を読んでいますか?

・希望する役所の組織体制を知っていますか?

 

漠然と公務員になりたいんだったら、他所の市町村役場でもいいでしょ?と面接官に思われるわけです。

別に就活生のスキルなんて、役所は期待していないですし、長期的に組織人として育てていく中で、逆にスキルが邪魔になるリスクもあるわけです。

なので、自分が何ができる、ということよりも、しっかり希望先の役所について学ぶことが大事なのです。

 

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就社とは、言ってみれば、結婚するぐらいの気持ちで臨むべきなのです。ということは、就社とは「口説き」といってよいでしょう。

 

【まとめ】地方公務員になるということは、古い組織に飼われるということです

若い人は、新しいこと、自分しかできないことを求めがちですが、公務員の仕事に新規性や斬新さは邪魔です。。

古い組織だから改革!!という意識を持つ人材を、役所もタテマエ上は求めていますが、逆に純粋な性格で、組織に従える柔軟な人が求めています。

就社なのですから、組織に従順で、一生辞めずにいてくれる人がいいわけです。

 

身分保障の名にもとに、一生涯雇用が守られて、地方では薄給とはいえ、そこそこの給与と福利厚生がある地方公務員は、その分、いろいろな規制に縛られた働き方が求められます。

この事実をネガティブにとらえるならば、役所に志望すると、採用された後に「こんなハズではなかった・・」という事態に陥るリスクが高いでしょう。

 

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