今回は、公務員とやりがいについて書きたいと思いますが、ネットで「公務員 やりがい」と検索すると、上位に表示される結果の大半がネガティブなものです。
ちなみに、公務員は国家公務員で64万人、地方公務員が275万人であるため、日本には332万人の公務員がいる計算ですね。
それだけ多くの公務員がいるのに、やりがいを感じられない公務員が多いというのは、日本の将来を考えるうえでも憂慮するべき事態です。
私自身は、市役所に勤務する地方公務員として現役で働いていて思ったのは、県庁勤務よりも、市役所勤務の方がやりがいは感じやすいということです。
なぜ、市役所職員の方が、県庁職員より仕事のやりがいを感じやすいか?その理由を述べていきたいと思います。
「県庁」と「市役所」の仕事を比較してみる
県庁と市役所の仕事におけるやりがいを書く前に、そもそも、市役所と県庁の仕事の違いについて、整理します。
県庁の仕事 | 市役所の仕事 |
・県下の広域事務 ・市町村間の連絡調整 ・警察 ・高等学校の整備、管理 ・教職員定数の決定 ・指定区間の1級河川、2級河川の管理 | ・住民票、戸籍の事務 ・一般廃棄物の収集、処理 ・介護保険事業 ・生活保護の給付 ・国民健康保険事業 ・小中学校の整備、管理 ・上下水道の整備、管理 ・消防、救急活動 |
このようにみると、県庁と市役所の違いとしては、県庁は広範囲、市役所は地元密着ということです。
県庁が国と市町村をつなぐパイプ役となり、市町村が住民に直接行政サービスを提供するという役割分担です。
それゆえ、県庁を志望した人は、広い視野で市町村をサポートしたいという意識を持っている人が多いですね。いわば、県庁職員は、市役所職員の相談役、コンサルタントといったところです。
これを踏まえたうえで、市役所職員としてやりがいを感じた出来事をまとめました。
市役所でやりがいを感じる理由
ルールに縛られ過ぎなくて良い
県庁職員は、スーツを着て、パリッとした人が多いイメージなのですが、市町村職員はラフな格好や、作業服の人が多いですね。
県庁ほど、ルールや規則に細かくない。もちろん、私たちも公務員なので法令順守は当然ですが、杓子定規にしていたら、地元と軋轢を産むことから、柔軟に対応することができます。
この柔軟性を評価するのは、現場職場はほど強いので、自由に動きたい人にはぴったりといえますね。
市役所は住民と近いディープな体験ができる
もちろん、市役所にも財政部門、総務部門に行くコースもありますが、私は現場に行ってこそ、市役所としての醍醐味を味わえるとと思います。
その醍醐味こそが、地域住民との距離の近さです。一緒に汗を流して、イベントを住民と一緒に協働して、その後は慰労会として地元の飲み会に参加できます。
この住民との一体感は、市役所職員で良かったなぁ、、、と心から思いますね。
直接お礼を言われる
県庁であれば、相手は市町村職員や企業が多いのですが、市役所であれば住民サービスなので、直接お礼を言われる機会もあります。
たとえば、引っ越してきたばかりで何も知らない住民の方に対して、温かく接遇を行うことで、ありがとうと言われる経験は、やはり純粋に嬉しいものです。
もちろん、クレームを言われることもありますし、それが辛いときもありますが、反応が直接感じることができます。
住民と近くにいることから、役に立っているという実感が湧きやすいということが、市役所職員ならではの喜びですね。
やりがいは住民サービス無しには手に入らない
市役所職員は、非常に住民に近い立場です。これは、県庁にはない恵まれた環境といえるでしょう。
住民と相対する恵まれた環境にいながら、やりがいを感じにくいということは、厳しい言い方をいえば、仕事のやり方が少し間違っていると思います。
確かにケースワーカーや徴税吏員については、難しい住民が多くて、クレームや苦情が多くて、感謝されないのは当たり前かもしれません。しかし、すべての住民がそのような難しい住民ばかりなわけではありません。
地方公務員も県庁職員のサポートがあってこそ、我々市役所職員が十分に仕事ができます。なので、住民サービスが向上していくために、県と市町村が連携することが大事です。
県庁の方々には、感謝していますが、最も地域との距離が近いという、市役所職員のポジションが、やりがいを得るという点では有利であることは言うまでもありません。
もしも、県庁と市役所のどちらに就職しようか迷ったら、住民と直接お付き合いをしたいという人に、市役所はこの上なく、素晴らしい職場といえますね。仕事のやりがいは得られやすいので、あとは、自分の頑張り次第です。
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これからは、AIによって地方公務員の仕事が激減するという予測もありますが、率直にいって、地方公務員の仕事を軽視しすぎていると思います・・・。