そもそもですが、公務員が公費出張でマイルを貯めるのがそんなに悪いことなんでしょうか?
もちろん、公費出張は税金ではありますが、それを直接的に横領したわけでもないのに、まるで業務上横領のように騒ぐ人がいます。
ちなみにですが、公務員の公費出張で得たマイルの取り扱いについては、国も省庁レベルで異なりますし、自治体によって異なります。
公務員の公費出張でマイルを貯まることは、いかがなものかという「良識」のある方々もいるために、泣く泣くマイルを取りこぼしている公務員の方もいます。
そこで今回は、国と地方自治体の公務出張で発生したマイルの取り扱いに関する見解をまとめました。
公費出張にかかるマイルの取扱いについて(国の場合)
まず各省庁ともに、もともとは各省庁に取り扱いを一任していました。
しかし、内閣官房にできた「旅費・会計等業務効率化推進会議」というところの議論を受けて、内閣官房がマイルの取り扱いについて「旅費業務に関する 標準マニュアル」を作っております。
このマニュアルにおいては、これまで同様に、公務員の私用マイレージカードの自粛を呼び掛けています。(※あくまでも「自粛の呼びかけ」です。)
そして注目すべき点は、「公費節減が見込める場合」は、公用マイレージカードの導入を呼びかけています。逆に「公費削減が見込めない場合」は、作る必要がありません。
では、公費削減が見込める場合とはどのような場合か、といえば、1年間で15,000マイル貯まる場合と規定しています。(同マニュアル23ページ)
1年間で、国内線特典旅行航空券(往復)に交換可能なマイルである15,000マイル以上貯まる見込みがある場合
また、マニュアルでは、ご丁寧に年間15,000マイルの事例として、東京-福岡を18往復する場合とまで記述されています(同マニュアル24ページ)
(15,000マイルが貯まる見込みのある航空機往復使用の例)
・東京ー福岡を18往復
・東京―ソウルを15往復
・東京ーロンドンを2往復
・東京ーロサンゼルスを2往復
きっちり国の場合、年間15,000マイル以内であれば、別に公務出張であってもマイルをもらってもいいよ、としているわけですね。
また、公務で発生したマイルを私用マイレージカードを引き続き、自粛を呼び掛けるだけとして、特にチェックを行わないこととしているようです。(同マニュアル24ページ)
※公務出張で発生したマイレージの私用のマイレージカードに登録することは、引き続き自粛する。(公用カードの作成者でないものに、航空会社が付与するマイレージは公務での活用可能性がないため、私用のマイレージカードの管理は本人に委ねる。)。
参考資料
きっちりしているところが、国らしいところですが、そこまでするか?というところが、正直な感想です・・・。まあ、無くて何となく不安でマイルを貯めていた国家公務員にとっても、良かったかもしれませんが。
公費出張にかかるマイルの取扱いについて(自治体の場合)
先ほどまでは、国のマイルに関する対応をみてきましたが、地方自治体はどうでしょうか。
実際のところ、地方自治体は国のように、いちいちマニュアルなんて作っておらず、私用マイレージカードの利用を自粛するよう通知で呼び掛けている程度です。
だいたいが山形県のような見解です。
山形県職員が公務出張により航空機を利用した場合のマイレージについては、県民の公務に対する信頼確保の観点から取得しないこととしています。
本県の旅費制度については、国家公務員の取扱いを基本としているところですが、今後とも国や他の都道府県の動向、更には民間企業の取扱いも十分研究しながら、適切に対応していきたいと考えています。(2017-03-21 実施中・実施済)
ちなみに少数派ですが、福岡県の場合は、年間1万マイル貯まる場合は、公務での活用を促しているようです。また佐賀県の場合も、貯まったマイルの公務出張での活用を促しています。
参考記事
福岡県は2014年10月の職員への通知で、「1万マイル」を目安に出張でたまったマイルの活用を促した。私的利用でたまったマイルと区別するため、旅費精算システムに公費で取得したマイルを登録する仕組みを導入。約2年間で職員10人が出張でマイルによる無料航空券を利用し、約35万円の旅費削減につながった。小川洋知事も、航空券の割引購入などに約59万6千円分のマイルを使った。
国の場合は、年間15,000マイルという一定の基準がありますが、地方自治体は特にないというところが特徴です。
各自治体も、国と同じように、職員には公務で貯めたマイルを私用に使うことは、自粛を呼び掛けるだけで、その後確認といった事務は行っていないようです。
公用マイレージカードはナンセンス過ぎる!
公費出張に行くときは、組織用のマイレージカードを持って、それにマイルを貯めて、別の旅費に充当して節約するというものですが、節約につながって、業務の効率化になりそうなアイデアですね。
ただし、私個人的には、極めてナンセンスだと思いますよ!
まず、出張に行くときに毎回マイレージカードを取りにいかないといけないわけですし、複数の人が使う場合や、忘れる可能性だってあります。
マイルを登録しわすれたら、後日マイルを登録するわけですし、登録し忘れたら、収入未済という扱いになるんでしょうか。
それに、ちゃんとマイルを登録したかどうか、チェックする人が必要になりますし、溜まったマイルの使い道を調べて、仮にマイルを使う場合は合議する必要がありますよね。
まあ、そんなこと以上に国のマニュアルでは、年間15,000マイルがの要件のようですが、15,000マイルぐらい大目に見てやれよという感じです・・・世知辛すぎ
公務での私用マイレージカードの自粛は論外
また、公用マイレージカード以上に一般的な対応方法である、私用マイレージカードの自粛って、それこそもったいないですよね。
せっかく、マイルを貯める機会があるのに、公費出張の原資が税金だからという理由で捨てるというのは、本末転倒だと思います。
まあ、国も自治体も、あくまで国民、住民向けのパフォーマンス程度だと思います。ただの通知ですしね。(通知は、別名「お願い」)
仮に私用でマイル貯めてても懲戒処分は無いと思います
では、実際に公務員が自粛されているにもかかわらず、私用マイレージカードを使った場合は、懲戒処分されるか?といえば、そんな事例はないので問題ないと思います。
確かに昔、長崎大学の教授が、個人的に貯めたマイルを使って航空券を買っているにもかかわらず、大学から旅費として26万円受けていたことがバレて懲戒処分されました。
が、これはあくまでレアケースですし、普通は発覚しないものですしね。
自粛を呼び掛けているもので、これで懲戒処分があっても、厳重注意か、戒告レベルで済みますでしょう。
公務員にとって、部署によっては出張が多くなることもあるでしょうが、マイルぐらいは役得として認めてもらいたいところですよね。
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出張を予約するときは、基本的にパックで予約することが決まっていますが、自由に予約できる場合(組合や職場の慰安旅行など)は、上記の方法でお小遣いが貯まります。(悪用は厳禁ですよ)
ANAマイルを貯めるために、実際に飛行機に乗らないといけないと思っていませんか?別の方法があるんですよねー
ちなみに、オーバーブッキングでもらえる協力金(迷惑料)は、人事院の見解ではOKみたいです。