【公金横領】自治体の窓口業務をパソナに依存することはリスクが高い理由

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現在の地方自治体は厳しい財政状況ということもあって、行政改革の名のもとに業務のアウトソーシング化、リストラが進められています。

特に自治体の戸籍や住民票を発行する窓口業務はアウトソーシングが最も進められている部門です。

役所の窓口業務は、いわば役所の「顔」ともいえる部門ですが、実際のところ、役所の顔として働いているのは公務員ではなく、民間企業です。

そんな多くの自治体の窓口業務を受注している代表的企業は「パソナ」です。

東証一部上場企業であり、人材派遣企業の草分け的存在ですが、確実に自治体の窓口業務に食い込んでおり、もはやパソナ無しには窓口業務が回らないといった状況です。

しかし、過度に一民間企業に公共団体が依存する危険性はないのでしょうか?

 

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自治体の窓口業務を請け負う「パソナ」とは?

知らない人もいるかもしれませんが、パソナは東証一部に上場する人材派遣会社です。

年商は2000億円を超えており、人材派遣だけでなく、最近は自治体の窓口業務を多く請け負っている大企業です。

そして、現在のパソナグループの会長は、小泉政権下で労働者派遣法改正に尽力した竹中平蔵氏であり、政府とは密接に関係している人物です。

実際、現在も政府関係の審議会等の要職に就いており、日本の雇用における法整備に強い影響力を持っているといって過言ではありません。

 

具体的にパソナが請け負う窓口業務とは?

実際にパソナが請け負う窓口業務について、パソナの公式サイトを見てみます。

総合窓口及び戸籍住民窓口/関連事務

総合案内・フロアマネージャー
来庁者案内、申請書記入案内、外国語での案内 等

窓口受付・各種証明発行業務
住民票・戸籍謄抄本等・印鑑登録申請・証明書の受付・交付、住民異動届の受付・作成、戸籍・住民票等の郵送請求、戸籍届書の受付・入力・帳票作成、パスポート申請受付、税証明の受付・交付 等

 

住民票や税証明、そして戸籍といった、個人情報を民間企業が扱っている状況は驚きですが、間違いなく言えるのが、パソナには役所の窓口業務の実績とノウハウが存在しているということです。

 

パソナで自治体業務のほとんどが可能

また、パソナが請け負っている窓口業務はこれだけにとどまりません。

 

・国保

・介護保険

・児童手当

・児童クラブ

・保健所事務(母子保健・予防接種・自立支援医療など)

・給与支払

・出納事務

 

パソナでほとんどの役所業務で可能じゃん!!

 

パソナは役所のあらゆる業務に一定のノウハウがあり、コストカットのためにアウトソーシングを図る役所には便利な存在です。

パソナは徹底的にコストカットを行うことで、自治体の委託料をビジネスチャンスにとらえて、確実に役所業務に食い込んでいます。

財政状況が悪化している自治体にとって、コスト安で業務を請け負ってくれるパソナは心強い存在でしょう。

しかし、過度にパソナに依存して大丈夫なのでしょうか?

 

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社員が公金を着服した事件で顕在化した「パソナリスク」

最近、大阪府の八尾市役所で1400万円の公金をパソナ社員が着服する事件が発生しました。

市役所でパソナ社員が着服 1400万円、大阪・八尾

大阪府八尾市は8日、市民課で住民票など証明書発行の窓口業務を委託しているパソナ(東京)の男性社員(31)=懲戒解雇=が、手数料約1400万円を着服していたと発表した。同社は市に全額を弁済したが、市は刑事告発を検討している。

市とパソナによると、男性は市民から受け取った手数料を管理するレジの責任者を2016年から務めていた。17年10月~19年9月、約400回にわたり、レジを操作して証明書の申請件数を改ざんして少なく見せかけ、差額分の現金を着服していた。

市は申請件数と手数料の受領額が記載された日報を確認していたが、改ざんされていたため着服に気付かなかった。9月中旬の精算作業で数万円の不足が判明し、男性に事情を聴いて不正が発覚した。男性は「着服した金は遊興費に使った。市民や関係者に申し訳ない」と話しているという。〔共同〕

 

これまでは、公金を扱えるのは公務員だけでしたが、パソナのような民間企業も公金を扱えるようになったことから、このようなリスクは今後も存在するでしょう。

さらに自治体がパソナにアウトソーシングをすればするほど、公金横領のリスクが高まるわけですね。

しかし、自治体が窓口業務をアウトソーシングすればするほど、本来理解しておかないといけない自治体職員の理解が不十分となり、その隙をついて、横領される危険性があるわけです。

 

【まとめ】本当に公務員が行うべき公共サービスとは?

今後、人口が減少し、税収も減少する一方で、社会保障費が増加するなかで、自治体のコストカットの圧力は高まるでしょう。

その中で最もやり玉にあがるのは、公務員の人件費でしょう。

しかし、アウトソーシングをするにしても、何を自治体の業務として残すのか、ということを意識しなくてはいけません。

基本的に自治体業務は、その自治体に勤務する公務員が行うのが基本です。公務員だからこそ、公金や個人情報を扱えるということは忘れてはいけないでしょう。

パソナへの過度な依存は、いずれ自治体の自己否定につながる恐れがあることから、公務員として注視する必要があります。

 

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