アドレスホッパーを語るうえで必ずといっていいほど指摘されるのが、アドレスホッパー=ホームレスという見方です。
この見方は一見して正しいようですが、全く違います。ホームレスの正しい定義を理解していないことによる誤解からくるものだと思います。
そこで、アドレスホッパーのように特定の居住地を持たない人と、ホームレスの違いについて解説します。
・アドレスホッパーとホームレスの違いは? ・アドレスホッパーとネットカフェ難民の近いと考える理由 |
世間はアドレスホッパーをホームレスを混同している
そもそも、アドレスホッパーという言葉自体が、まだ新しい言葉であり、世間一般的に浸透しているとはいえないことから、「アドレスホッパー??」となるのは仕方がないです。
よって、世間一般では、アドレスホッパーを、住所不定ということから、「家無し」「ホームレス」と勘違いしてしまいます。
アドレスホッパーとかいう新手のホームレス
— milekun (@milekun) January 31, 2019
アドレスホッパーなんて格好良さげに呼ぶけど、ただのホームレス。こういうのがデカいリュック下げて一般人に迷惑を掛ける
— ぶるぶる (@0711Nobu) January 31, 2019
そんなアドレスホッパー=ホームレス説は、実は法的には全く異なるんですね。
ホームレスとアドレスホッパーの違いは?
ホームレスの法的定義は路上生活者
私は、公務員として働いていますが、大学生時代はホームレス支援の活動をしていましたので、よくわかるのですが、そもそもホームレスとは、日本語訳すると路上生活者と訳することができます。
それに、ホームレスを支援する法律である「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」において、しっかりホームレスの法的な定義がされています。
(定義)
第二条 この法律において「ホームレス」とは、都市公園、河川、道路、駅舎その他
の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者をいう。
つまり、ホームレスとは、そもそもホームレスであるように、公園や河川、道路といった屋外や公共施設で生活をしている人を指すのです。
よって、民宿や友人・知人宅といった私的な空間で暮らしているアドレスホッパーはこの定義にはまりません。
アドレスホッパーは住民票がある
住所不定であるアドレスホッパーは、住所不定だけで住民票は実家やシェアオフィスなどに置いている場合が多いです。
実際、代表的なアドレスホッパーである市橋正太郎氏は、シェアオフィスに住民票を置いています。
よくあるご質問: (回答は個人事例)
Q.住民票は? A.今は豊島区のシェアハウスに置かせてもらってます
Q.住民税は?A.なので豊島区
Q.納税地は?A.シェアオフィスのある千代田区です
Q.郵便物は?A.基本シェアオフィスに送ってます
Q.日々の食事は?A.全て外食(一人暮らしの時からずっと)— アドレスホッパーいちはし (@addhopper) March 24, 2019
また、別のアドレスホッパーは実家に置いていました。
よくあるご質問: (回答は個人事例)
Q.住民票は? A.実家です。
Q.住民税は?A.会社勤めなので給与天引きです。
Q.納税地は?A.確定申告は都内の事業所住所がある区で実施。
Q.郵便物は?A.オフィス受け取りです。コンビニ受け取りも。
Q.日々の食事は?A.主に外食で時折エアビーやゲストハウスで自炊。— MATT Masui | 升井 優 (@matt_masui) March 24, 2019
ホームレスはこの点、居宅が実家も含めて全くないので、住民票の登録が無い場合が大半です。
一方でアドレスホッパーはしっかりと住民票を登録しており、住民税も払っていますので、ホームレスとは決定的に異なります。
※ただ、居住実態が無いと当該自治体が見なした場合は、役所が職権で住民票の登録を抹消する(職権消除)可能性があるので、注意が必要ですがね。
アドレスホッパーはネットカフェ難民に近い?
ホームレスが路上生活者とするならば、似たように住所不定であるネットカフェ難民はどうでしょうか?
個人的には、アドレスホッパーはネットカフェ難民に近いと思います。
ネットカフェ難民はホームレスではない!
アドレスホッパーとネットカフェ難民の違いについて述べる前に、そもそも、ネットカフェ難民をホームレスの一種と勘違いしている人多いです。
実際のところ、政府答弁において、ネットカフェ難民はホームレスではないと断言しています。
衆議院議員山井和則君提出ネットカフェ難民に関する質問に対する答弁書
ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(平成十四年法律第百五号)第二条に規定する「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設」には、同法の立案時において「インターネットカフェや漫画喫茶」などその利用に対価の支払を必要とする施設が含まれることは想定されていなかったと考えられ、同条の解釈としても、御指摘のような生活を送る者は、同条に規定する「ホームレス」に該当しないと考える。
ということで、ネットカフェ難民は住居が無いということだけに着目して、ホームレスの一種とする言説は間違っているわけです。
ネットカフェ難民はアドレスホッパーの先駆け?
ホームレスを定義する「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」において、同法の立案時において「インターネットカフェや漫画喫茶」などその利用に対価の支払を必要とする施設が含まれることは想定されていませんでした。
ましてや、現在のようにAirbnbのようなSNSサービスが普及することなんて予想だにしていなかったので、アドレスホッパーは、ホームレスの定義から遠ざかっています。
一方で、アドレスホッパーは、ネットカフェ難民がインターネットカフェを定宿としているように、利用に対価を支払って、民泊などを利用しています。
なので、アドレスホッパーは、ネットカフェ難民がネットカフェを利用していたように、短期的に民宿、民泊、ゲストハウスを転々としているわけですね。
そのように考えると、ネットカフェ難民は、アドレスホッパーの先駆けといえるでしょうね。
【まとめ】ネットカフェ難民からアクセルホッパーへ
ホームレスは、路上で生活しているため劣悪な環境にさらされることも少なくありません。なので、ホームレスとアドレスホッパーを混同するのは、あまりにも乱暴と言わざるを得ません。
一方で、ネットカフェ難民というと、ネーミングが「難民」とついているだけで、別に難民でもなんでもありません。
空調もあるし、フリードリンクはある、壁もあるため一定のプライベートも確保されています。また、ネットカフェの中には、住民票を置くことができるところもあるようなので、住民票の問題も解決できます。
さらに、ネットカフェだけでなく、SNSを利用することで、複数の宿泊場所を確保できることから、ネットカフェ難民が問題視された時代とは、生活環境が異なるわけです。
ネットカフェ難民という言葉自体は、もはや死語であり、これからはアドレスホッパーということが適切ですね。
[関連記事]
アドレスホッパーはミニマリストの一種とも言われており、整理しました。
アドレスホッパーは居住地を移動するため、荷物を大量に持てませんが、サマリーポケットのような収納サービスを利用することで解決できます。もちろん、ネットカフェ難民が生まれた時代には無かったサービスです。