公務員は客を選べないのか?そもそも住民=お客様という公僕マインドは古いと思う理由

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一部のネットで話題となっているのが、以下の記事です。

客を選べない仕事の不人気化

詳細については、記事をご覧になっていただくとして、趣旨を私なりに要約すると、これからは人手不足であるから「顧客」ファーストから「従業員」ファーストになっていくのに、公務員のように客を選別できない業界は、クレーマーのような訳の分からない顧客も相手にせざるを得ず、苦労するから、人気が無くなっていくよ、というもの。

 

これは同意する点が多いのですが、実際に地方公務員として働いていて、違うなぁと思った点もあったわけです。特に公務員が顧客(住民)を選別できないという点です。

そもそもですが、地方公務員は住民を「お客様」とは思わないようになっているのではないでしょうか。

 

えっ、公務員は「公僕」なんじゃないの?

 

 

そうなんですよね。まだ公務員を「公僕」と思っている住民も多いようですが、確かに憲法では公務員を「全体の奉仕者」と位置付けているのですが、「公僕」というフレーズはでてこないんですよね。

ちょっと前置きが長くなりましたが、これからの地方自治体における、これからの公務員と住民との関係性について書きたいと思います。

 

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古臭い「公僕」観

公務員は憲法15条において、「全体の奉仕者」として位置付けられています。

第十五条【公務員の選定罷免権、公務員の性質、普通選挙と秘密投票の保障】
1 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。
4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選
択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

 

全体の奉仕者とは、常に国民を公平に公正に奉仕するという意味であって、全体に奉仕する=「公」に奉仕する=「公僕」と勘違いしている人が多いんですね。

私はこの「公僕」観が、現在の公務員バッシングの根底にあるんじゃないかと思います。

 

「公僕なんだから、国民に尽くすのが当たり前だろ

 

「公僕」のくせに給料高すぎるんだよ!

 

 

全体の奉仕者ですので、国民の税金を頂いて仕事をしているのですが、この税金で仕事をしているということで、一部の国民が公務員バッシングを行い、それを政治が利用して自分の支持に結びつけているという現状があります。

いずれにしても、この公僕観が根底にあるからこそ、横柄な住民や、お客様意識の高いクレーマー住民を生み出しているのでしょう。

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下がる税収と増える住民ニーズ

現在の日本は、高齢化によって扶助費を中心に増加していく一方で、少子化によって税収が下がっていきます。特に地方では顕著に衰退しつつあり、地方自治体は少ない財源を頼りに増えていく行政ニーズに対応していかざるを得ません。

しかし、行政ニーズに対応するにしても、ない袖は振れないわけなので、住民の不満もたまっていきます。

 

「歩行者の道路が狭い!広げろ!」

「待機児童が多い地域に保育園を作れ!」

「国保料が高い!下げろ!」

「水道料が高い!下げろ!」

「空き家が増えているから、取り壊せ!」

「津波が来るから非難タワーを作れ!」

 

要望はたくさん受けますが、結局は財源なんですね。しかし、3割自治という言葉が象徴するように、交付税や国の国庫事業無しには、もはや成り立ちません。

とはいえ、役所も財源無いからできませーんでは、そもそも通用しませんし、住民ニーズを実現するために、いろいろ工夫をする必要がありますが、実際のところ、全国の役所は工夫ではなく、職員のマンパワーで乗り切ろうしているわけですね。

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減る定数と増える残業

実際のところ、増える住民ニーズに対応するために、地方自治体は人件費を削ってきたいわけです。積極的に職員定数を減らし、非正規公務員で穴埋めして何とか役所を回してきたわけです。

一方で、これまではラクチン職場と呼ばれた公務員が、うつ病やメンタル疾患を訴えるようになってきました。背景には、職員定数を削ったことによる職員一人当たりの仕事量が増加し、やむなく残業を強いられる職場環境です。

バブル崩壊からリーマンショックと平成の時代は、本当にデフレと不景気で国内経済はガタガタとなり、派遣法改正で非正規ワーキングプアを生み出しました。結果として、多くの貧困層を生み出したことで、生活保護利用者のように、行政のフォロー無しには生きていけない人々につながりました。これに追い打ち書けるように、高齢化によって高齢者福祉のニーズが高まっているわけです。

しかし、先述したように高まる行政ニーズに対して、税収は下がるわけですので、職員定数を増やすことができず、現場の公務員のマンパワーに依存せざるを得ないんですね。

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行政フルセット時代の終わりの始まり

これからの地方自治体は、多くの選択を迫られるようになります。実際、公共交通機関こそ、その最たるもので、中山間地域を中心にバス路線が「選択」されています。

また公共施設について、地域の図書室、公民館も「マネジメント」されて、存続か?廃止か?という選択を迫られています。

これまでのように、行政が住民ニーズをすべて丸抱えするという時代は終わったのです。高度成長時代の行政フルセット時代の終わりは始まっているわけですね。

 

では、どのような形に移行していくかというと、一つのモデルが「地域共生社会」のような形です。

 

「地域共生社会」の実現に向けて

 「地域共生社会」とは、このような社会構造の変化や人々の暮らしの変化を踏まえ、制度・分野ごとの『縦割り』や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会を目指すものです。

 

まあ、ブラック役所の代表格である厚生労働省が提唱している点は、とりあえず置いておくとしても、これからは、行政だけでなく、地域住民も垣根を越えて、地域課題を解決していこうという方向性です。

 

公僕からパートナーの時代へ

今までのように税収があり、職員も余裕があれば、公僕であり続けたのでしょう。もちろん、公務員も公僕を装いながら、昼間抜け出して喫茶店でコーヒーを飲んだり、5時15分の定時で帰って飲みに行ったり、いわゆる巷にあふれている「ぬるい」公務員として生きていけたでしょう。

しかし、地方に住んでいてわかるのが、結局公務員ぐらいしか、マトモな労働環境が整っている職場が残っていないというリアルです。

そんな地方の現状をみると、増えていく住民ニーズに対応するには、いかにして地域住民を参画させていくのかということを本気に考えなくてはいけません。

これは自治体であれば「協働」とか「パートナーシップ」という言葉で表現されていますが、共通しているのは同じ目線で対等に行政と住民が協力していくという方向性です。

もちろん、行政もこれまでのような「親方日の丸」では通用しませんし、積極的に地域に飛び込むことが求められます。

公務員は住民を選べませんが、住民も含めた地域が選別されていく時代です。選択する側は、地方であれば、移住者でもあるし、国でもあるわけです。つまり、選別する側、される側というのは、相互関係にあるわけです。

選ぶ、選ばれるとか、お客様、公僕といった、民間企業と同じ「消費者視点」では、おそらく地域社会は維持できないでしょう。

 

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