破産者を可視化する「破産者マップ」の問題点や危険性は?ネタ元の「官報」とは?

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最近公開が始まった「破産者マップ」は、借金等で「破産手続き」を開始した人の住所と氏名をマッピングしていることから、にわかに注目を集めています。

では、どのようにして破産者マップは、破産者の情報を知りえたかというと、そもそも政府が発行する「官報」の中で公開しているんですね。

そこで、今回は破産者マップのネタ元である「官報」について解説します。また、破産者マップの抱える問題点や危険性についても指摘したいと思います。

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破産者マップとは?

今回のテーマである破産者マップとは、政府が発行する「官報」に掲載された自己破産者の個人情報をネタ元にして、ネットのグーグルマップと紐づけることで、債務者の可視化しているマッピングサイトです。

 

破産者マップ
※現在は閉鎖されています。

 

グーグルマップと紐づいているので、自分の住んでいる場所の近くにいる破産者を知ることができるという特徴があります。

似たようなマッピングサイトとして、事故物件を可視化する「大島てる」というサイトがありますが、決定的な違いは、この破産者マップは破産者の個人情報である住所と氏名まで掲載されているという点です。

 

ここからが、今回のテーマの核心なのですが、、自己破産といった最もナイーブな個人情報を自分の住所と紐づけて、だれでも閲覧できるインターネット上に掲載しているという点です。

 

破産者マップのネタ元は「官報」

官報は誰でも読むことができる

事業者や個人が多額の借金を背負ってしまい、どうしても返済が不可能となった場合、裁判所の申し立てて免責が得られれば、借金の返済を免れる破産手続きをすることができます。

しかし、自己破産をした場合は破産者として政府の官報に掲載されます。なお、官報については紙面として発行されていますが、インターネット上でも公開されています。

 

インターネット版官報

詳細な情報については、PDFとして掲載されており、個人だけでなく法人もすべて掲載されています。

 

この官報に掲載された情報をもとに作られたのが破産者マップというわけです。この官報に掲載されている情報はインターネットだけでなく、だいたいの図書館にも置かれているので、閲覧しようと思えば読むことができます。

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どうして破産者情報が官報に掲載されるのか?

素朴な疑問ですが、なぜ破産したら官報に掲載される理由は、債権者に対して、破産したことを知らせるためです。

官報は建前上は、国民全員が閲覧できるものであるので、破産者の債権者も「当然」見ているという前提であるため、氏名と住所を掲載しているわけです。

官報を通じてお知らせをすることで、債権者に対して、債権は諦めてください、ということを伝えるわけですね。債権者にとっては、非常に悔しいかもしれませんが。。これは「破産法」という法律に基づくものなんですね。

 

官報はほとんど読む人がいなかったが・・

しかし、実際のところ、官報を読む国民なんてほとんどいないわけですし、普段、放り制度に関わっている私のような公務員でさえ、読んでいる公務員なんて少数だと思います。

官報には、破産者だけでなく、相続、失踪宣告や行旅死亡人といった裁判所に関わること、法案や人事異動といった政府に関わることなど幅広く掲載されており、破産者の情報はその一部に過ぎないわけですね。

また、インターネット官報も一定期間が過ぎれば、無料掲載期間が終わりますので、料金を支払わなければ、家庭のインターネットから閲覧することはできません。

なので、債務整理や自己破産を請け負う法律事務所の売り文句が「破産して官報に掲載されてもほぼバレません」でした。しかし、この前提を大きく崩すのが、この破産者マップというわけですね。

 

官報に著作権はないのか?

そこで気になるのは、官報の情報を利用しているということは、著作権といった問題はないのか?ということです。

その点はインターネット官報で回答していました。

一般的に、官報には著作権が存在しないと解釈されています。しかし、「インターネット版官報」は、官報を基に国立印刷局が編集・作成したものであり、その範囲内において著作権が発生する余地があると考えられます。

 

なので、破産者マップの行為自体は、著作権法違反にはならないと思います。しかし、それでも個人情報をネット上に2次利用という形で商用利用しているのは、違和感があります。

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破産者マップの問題点と危険性

地域住民に個人情報が知れ渡るリスク

破産情報というのは、本当に他人に知られたくない情報です。「官報に掲載されていて誰でもわかるんだから、今に始まったもんじゃない」という指摘もありますが、現実として、誰も読まないので、周りに知れ渡るリスクというのは少なかったわけです。

しかし、マッピングサイトという形で読みやすくなれば、誰でも容易にアクセスして、自分の近所から周りの破産者を特定できるわけです。

 

「え、あの人、破産していたんや・・!」

「町内会で役員しているのに破産者だったの・・・」

そんな声が地域であがり、地域内でギクシャクする可能性だってあるわけですね。

 

闇金業者のターゲットになるリスク

自己破産をすると、ローンを組んだり、クレジットカードを作ったりすることに制約が発生します。そんな破産者を狙って、法外な利息で違法にお金を貸す闇金業者が近づく可能性があります。

確かに、これまでも闇金業者が官報を見て、破産者を狙い撃ちにするとことはありましたが、それがさらに容易になるわけですので、さらに闇金まがいの業者が近づくリスクがあります。

破産者の経済的事情につけこむ輩にきっかけを与えかねないので、非常に心配です。

 

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破産者マップの個人情報の削除が困難

では、破産者マップの個人情報を削除したいと思った場合、ハードルが非常に高いです。破産者マップの運営は不透明なのですが、自分の身分は明かさないのに、削除にあたっては、公的身分証明書の写しを求めています。

 

破産者マップ削除申請フォーム

勝手に個人情報を利用しておいて、削除するときは本人確認書類というさらに個人情報を求めるのは、非常に問題があると感じます。

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破産者マップは閉鎖するべき

私自身は、この破産者マップというサイトは、速やかに停止するべきだと思います。そもそも、マッピングサイトという手法で、破産者を可視化することに意味を感じません。

むしろ、先ほど指摘したように、地域分断や闇金業者の誘発を招くことになり、害悪しかないと思うからです。

この破産者マップがあることで、破産をためらう人も増える可能性もあります。そもそも制度として、破産制度が保障されているのに、それがこのサイトの存在で歪められてしまっては制度が破綻してしまいます。

結果として、自己破産ができずに、借金を苦に自殺するという最悪の事態を招きかねません。

 

ただ、官報として告示されているという事実もあり、「結果として」情報公開と個人情報保護の矛盾に一石を投じる形となりました。破産制度は国の法制度に関わるので、これをきっかけとして、政府は法改正や行政指導を行うべきです。

また、一定期間があれば、記録から削除するといった形で、個人としての「忘れられる権利」の保障にもついても議論が必要だと思います。

破産者として一生「十字架」を背負わせて、うしろ指をさされ続けるような制度には、なって欲しくないです。

 

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