なぜ福井市役所の財政調整基金はゼロになった?本当の原因は豪雪ではなく北陸新幹線?

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役所の貯金にあたる「財政調整基金」(通称 財調基金)がゼロになったため、職員給与をカットしたことで福井市役所が全国的に話題となりました。

財調基金がゼロになった背景には、福井市を襲った記録的な豪雪を原因にあげていましたが、果たしてこれだけが原因なのでしょうか?

そこで、今回は福井市役所の財調基金ゼロになった事件を深堀りして、その原因について調べてみました。

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福井市役所の財調基金ゼロ事件を振り返る

まずは今回の福井市役所の財調基金ゼロ事件を振り返ります。やはり、この手のローカルな事件は、地元新聞である福井新聞が詳細に報道しています。

 

福井市長が陳謝、決算赤字2億円
大雪や台風で財政悪化、見通し甘く

福井県福井市の東村新一市長は6月1日会見を開き、2017年度一般会計の決算が、実質収支で約2億円の赤字になる見通しを明らかにした。大雪対策により巨額の経費がかさみ、本年度も約12億円分の財源が不足する見込みで、151事業の中止と縮減、特別職の報酬や職員給与の削減で財源を捻出すると説明。市民生活に影響が及ぶなど財政悪化の責任を認め「本当に申し訳ない」と陳謝した。

大雪関連経費は約50億円に上り、国の特別交付税や全額取り崩した財政調整基金を充ててもなお不足した。赤字団体になるのは、県内では1997年度の同市以来で20年ぶり。全国では2013年度以来。本年度予算では、赤字2億円の補塡(ほてん)と約10億円が見込まれる増額補正を合わせて、約12億円の財源が不足する。

東村市長は赤字となった理由について、直接的な原因として今年2月の記録的大雪や昨年10月の台風21号を挙げた。財政悪化を招いたことに「財政運営の在り方を含め申し訳ないと思っている。先の見えない災害があったとはいえ、県都を預かる市長として、もう少し先の見通しが持てなかったかと悔やみがある」と陳謝。財政悪化の原因をさらに精査していくとした。

 

現役公務員で多少は予算に関わった事がある職員としては、実質収支が赤字なるなんてありえないですし、そもそも最後の基金である財政調整基金がゼロとなることも前代未聞です。

市長は、その原因を災害を理由としていましたが、それでも見通しが甘すぎるといわざるをえません。今回の赤字補てんのため、市長は福井市役所職員の給与を10%削減する方針を打ち出しています。

 

大雪で福井市職員の給与削減方針
財源不足で10%、労組は反対

市によると、除雪や傷んだ公共設備の補修など大雪関連経費の17年度決算見込みは約50億円。このうち、自然災害など年度当初に予想できなかった経費として国が配分する特別交付税約14億円や国土交通省の関連補助金など約4億6600万円に加え、市の災害対策基金の全額約8億円を当てても足りないため、財政調整基金約7億4千万円を全て取り崩した。

財政調整基金が底をつくのは「突然の支出があっても柔軟に対応できる財源がない」(財政課)という異例の事態。市は15日、わずかずつでも同基金を積み立てられるよう、新たな財政計画を策定する方針を議会に示した。

このため市は、大型事業の先送りや既存事業の見直しにより約5億円を捻出した上で、さらに不足する約8億円を職員の給与削減で補填する方針を決定。賞与を除き、全常勤職員の給与10%と管理職手当10%、特別職報酬20%を7月から来年3月までの9カ月間削減する案を職員労組に提示した。

 

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執行部のマネジメント上の失敗を職員給与カットで対応するというのは、仕方ないにしてもあまりにひどいといわざるを得ませんし、市長の政治的責任が問われることは必至でしょう。

 

そもそも財政調整基金とは?

ここで、基本的なお話ですが、そもそも財政調整基金とはなんでしょうか?

財政調整基金に限らず、基金は、どの自治体も必ず持っており、財政に余裕があるときに積み増して、厳しくなったら取り崩すといったまさに貯金のようなものです。

なので、基金=貯金と読みかえると理解がしやすいと思います。

そんな基金でも、特定の事業にしか使えない「特定目的基金」や、地方債(借金)の返済に充てる「減債基金」と違って、年度間の収入過不足を調整するのが「財政調整基金」というわけです。

基本的に災害が発生する場合は多額の支出を伴うので、災害対応を目的とした特定目的基金を用意しており、その基金の範囲内で対応できるのですが、今回の福井市はその基金の残高を大きく上回り、最後の基金の砦である財政調整基金にも手をつけて、ゼロになってしまったわけですね。

 

貯金がなくなれば、収支不足は家計と同じく、切り詰めないと補うことができませんので、一番切りやすい職員給与カットに踏み込む方針となったわけです。

 

なお、福井市の財調基金ですが、3月の補正予算案において、財調基金への積み立て(3400万円)が盛り込まれたため、とりあえず財調基金ゼロという状態は脱したようです。しかし、それでも、23年度に30億円以上を目標としていますので、道のりは険しいですね・・

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福井市役所が赤字の理由は豪雪だけでない!

福井市長は、今回の財調基金ゼロと実質収支赤字の理由を、豪雪を理由にしていました。確かにその側面は大きく、否定はできませんが、豪雪はあくまで基金ゼロとなった「トドメ」であって、その前から理由はありました。

 

その原因は、北陸新幹線です。

近年の福井市の財政状況は、膨張しており、その背景には平成34年度末の開業を目指す北陸新幹線があります。

 

この北陸新幹線の開業に備えて、福井市は「新幹線推進室」を専門部署として、積極的に取り組んでお、福井市は積極的な大型公共事業に取り組んでおり、例えば、JR福井駅前の再開発ビルは、総事業費141億円のうち50億円を市が負担しております。

 

周辺の道路整備なども行うことで、建設事業費は1500億円を超える規模となりました。(平成20年から28年の間)

【関西の議論】豪雪で財政難の福井市、新幹線開通控え「次の雪」におびえる

近年の市の財政を圧迫した案件には北陸新幹線の開業などの大型事業や学校の耐震化などによる建設費の膨張がある。新幹線開業に備え、平成28年にオープンしたJR福井駅前の再開発ビルは、総事業費141億円のうち50億円を市が負担。周辺の道路整備などにも約195億円を計上するなど、20~28年度の建設事業費は1500億円を超えた。

 

なお、1500億円という数字は、福井市役所の1年間の一般会計予算(約1060億円)を上回ります。

 

 

なお、学校耐震化が財政悪化の原因という論調がありますが、学校耐震化には「公立学校施設整備費負担金」や「学校施設環境改善交付金」など、比較的有利な国庫補助金があります。また、自治体負担分についても、交付税措置が行われるため、自治体の負担はそこまで重くありません。

 

 

一方で投資的経費にあたる北陸新幹線関連事業については、財政調整基金の取り崩しでやりくりをしてきましたが、今回の記録的豪雪によりトドメを刺されたため、基金残高ゼロという状態になってしまったわけです。

なので、近年の福井市役所の財政状況が悪化した主な原因は、北陸新幹線にかかる大型事業によるものだといえるでしょう。

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福井市役所の事件は他人事ではない

もちろん、福井市役所の財政当局の甘い歳入見通しや、社会保障費の自然増など、要因は新幹線だけに限定されるものではありませんが、それでも、福井市役所の財政悪化は大型公共事業を集中的に行ったことが大きい要因だと思います。

この手の大型事業で財政が悪化した事例は、全国の自治体で多くみられますし、だいたいこの手の大型ハコモノ事業は失敗する可能性も高く、代表的なものが青森市のアウガですよね。

 

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北陸新幹線に限らず、大阪万博、リニア中央新幹線、国策の恩恵を受けるために自治体が大型事業を行うケースがこれからも続きますが、見通しが甘い財政運営は自治体の首をしめて、一番の被害を食らうのがその役所で働く公務員です。

だからこそ、杜撰な財政運営については、市民だけでなく、その役所で働く公務員も中止する必要があるわけですね。

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