地方公務員になる人は、良くも悪くも野心のある人はそんなに多くありません。しかし、少数派ですが出世欲に燃える職員も存在するので、今回は市町村役場における出世について書きたいと思います。
役所の世界で出世するには、どんな要素が必要なのか?今回は、そんな役所における出世しやすいキャリアというものを考えてみたいと思います。
一般職では「部長」特別職では「副市長」が最高ポスト
出世するとは、一般職では「部長」、特別職では「副市長」を想定しています。
市町村役場のトップは「市長」「町長」「村長」といった「首長」ですが、それは選挙によって決まりますので、あくまで組織における出世といえば、やはり部長や特別職でしょう。
一般職のトップである部長になれば、部局のトップとして課長をはじめとして部局全体の人事を掌握することができ、幾何かの個室をあてがってもらえます。
また、特別職である副市長や教育長ともなれば、市長に次ぐ絶大な権限をもつことができるので、部局を超えて人事権を持つことができます。
地方公務員における出世の魅力は「人事」に関与できること
市町村役場における出世の魅力は、つまるところ「人事権」でしょう。
一般的に人事権は人事課と総務部長のみと考えられているようですが、実際のところ、各所属長(課長)や部長の推薦に基づいて、人事課長が取りまとめる形が一般的です。
そして、総務部長からの副市長の決裁を経て人事が決まります。もちろん、一本釣りというパターンもあるかもしれませんが、それはごく少数です。
役所の世界では根拠と意思決定の手続き過程というものが、非常に重んじられるので、誰かが単独で決定することは避けて、あくまで組織としての協議を経て決定される形をとっております。
もちろん、部長・副部長以上のポストは市長の意向が非常に重要視されますが、それ以下の課長ポスト以下は、部長クラスで決定されます。
もちろん、小さい町村役場ぐらいであれば、すべて首長が決めることも考えられますが、市クラスになれば、職員数も多いので、実質の人事権は副市長が持っている場合が多いです。
とはいえ、人事権の内幕を知っているのは、人事課でもごくわずかであり、一般に明かされません。しかし、人事は「議会」「労働組合」など、いろんな利害関係者が存在し、それらを調整して決まります。
そんな役所でごく僅か人間しか関われない人事という営みに関われる「優越感」こそが、出世の醍醐味と言っていいでしょうね。
「学歴」よりも出世に必要な大事な4つの要素
国家公務員、それも官僚と呼ばれる国家公務員総合職は、東京大学を頂点に、京都大学、早稲田大学、慶応義塾大学といった高学歴が求められます。
一方で、地方公務員、それも市町村役場では、実際のところ学歴というものが出世においてあまり重要視されません。
重要視される要素としては、「席次」「勤続年数」「部署歴」「家柄」だと思います。
席次とは、採用試験における順位です。公務員の世界では、この席次によって一生涯の役所人生の順番が決まるともいわれており重用されます。
また、勤続年数が長い職員ほど、経験が豊富ですし、詳細は後述しますが、高卒で入れば少なくとも大卒に比べて4年間は勤続年数が長くなるわけですから、この点は高卒入庁組が有利な点ですね。
そして、これが重要視されるのが「部署歴」です。いわゆる、人事課や財政課といった総務部門を長く経験した職員は出世しやすいというのは、有名な話です。
財政課については、主に体力が求められるので、若くして高卒で入庁した職員の方が配属されやすいという傾向があります。
最後に家柄ですが、簡単に言えば、親がその役場のOBで、もっと言えば幹部クラスであれば、出世は早い傾向があります。若くして出世する職員は、たいがいこのパターンです。
これは、役所に限らず、どの業界でもあるいわゆる「世襲」ですね。
以上の公務員における4つの要素を踏まえたうえで、学歴においては、高卒で入庁した方が有利だったりします。
地元の進学校から高卒入庁が出世の近道か
今でも高卒者を対象とした試験が存在しておりますが、実は役所の採用試験において、高卒枠というのは、非常に狭き門で難関だったりします。
やはり、地方において公務員は一定のブランド価値があり、人気の職業であることから応募が多いため、試験に合格するのは優秀な人だといえます。
そんな高卒枠におて、県立、私立問わずに進学校や名門校の卒業者というものが優遇される傾向にあります。これは、役所にも学閥と言わないまでも同じ高校の同門同士ということで、優遇されるのでしょう。
高卒で無事採用されれば、少なくとも大卒者よりも4年は勤続年数が長いのですから、その分キャリアは積むことができ、人事の目に留まりやすいともいえます。
大卒で多いパターンは地元国立大とMARCH系の私立大学?
ちなみに、市町村役場における大卒入庁組に多いパターンは、地元国立大はやはり多いです。大学別でみれば、圧倒的ではないでしょうか。
また早稲田、慶応、関関同立よりもMARCH、日東駒専クラスの私立大学も多いように思えます。
確かに旧帝大クラスの人や、ごく稀に東大京大卒もいますが、本当に稀です。実家の都合とか、本人以外の理由で地元に帰ってきた人が多い印象ですね。
ちなみに、大学院卒はという学歴の人もいますが、国家公務員なら優遇されますが、市役所は明らかにオーバースペックかもしれません。
市町村役場で出世しやすい人はこんな人!
ここで、市町村役場で出世しやすい人をまとめてみます。これはあくまでモデルなので、一概には当てはまらないかもしれませんが、案外、出世する人なら当てはまるのではないでしょうか?
・親は市役所の管理職以上のOB
・地元の名門高校卒業
・採用試験の席次は上位合格
・財政課や人事課の配属経験あり
とはいえ、出世のキャリアコースは、人それぞれです。出世だけが公務員の幸せの形ではないですが、あえて出世の道を目指すというのも面白いかもしれませんね。
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役所における出世の別の形というのが、組合の執行役員になるというものです。組合が役所の当局とつながっていれば、なおさらですね。
管理職以上に支給される管理職手当は責任の割に多くないですし、時間外手当の対象外となって、給与が減ってびっくりという人もいるかもしれません。