「公務中に怪我しちゃったよ・・・痛てて・・・」
公務員の仕事は、デスクワークだけでなく、公共施設周辺の草刈りのような体を動かす業務もあるわけですので、公務災害に巻き込まれる可能性があります。
このように、職務中に怪我をした場合、民間企業であれば「労災保険」から保険金が下りるのですが、公務員のみなさまに衝撃の事実をお知らせします。公務員は労災保険に加入していないのです!
「マジか!じゃあ、公務中に怪我したらどうするの?自己責任なの??」
そんな不安を覚える方もいると思いますが、ご安心ください。民間の労災保険は加入していませんが、その代替として地方公務員ならば「地方公務員災害補償法」(以下補償法)があります。
馴染みのない言葉である補償法ですが、公務災害のセーフティーネットですので、知っておくことは大事です。そこで、公務災害から公務員を守る地方公務員災害補償法について書きたいと思います。
労災保険の基本情報
労災保険は、正式名称は「労働者災害補償保険」といいまして、業務上の通勤を含む、負傷、疾病、死亡した場合に本人もしくは遺族に給付金を支給されます。
労災保険は事業所単位で加入しており、この労災保険料は「全額」事業主の負担となりますので、労働者の負担はありません。ちなみに、労災保険料の算出式は、以下の通りです。
労災保険料=従業員の賃金総額×労災保険料率 |
平成30年度時点の労災保険料率は、業種によって保険料率が異なりますが、例えば、公務員のようなサービス業は、1000分の3となっております。
また、労災保険は正社員だけでなく、パート・アルバイトも対象となりますので、労働者であれば、誰でも加入できるものです。
では、労災保険で具体的にどんな給付金があるかというと、以下のような給付が受けられます。
誰でも労働者なら加入できて、労働者の保険料負担ゼロであり、ケガや病気になっても給付が受けられるのは、労働者としては安心ですね。
しかし、冒頭で説明したように、公務員はこの労災保険の適用対象外なのです。
労働者災害補償保険法
第三条 この法律においては、労働者を使用する事業を適用事業とする。
○2 前項の規定にかかわらず、国の直営事業及び官公署の事業(労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)別表第一に掲げる事業を除く。)については、この法律は、適用しない。
労災保険法にずばり明記されていますね。もう議論の余地はありません。公務員も同じ労働者なのに、官公署の労働者は対象外なのですね。
地方公務員は地方公務員災害補償法があるぞ!
労災保険法で、確かに公務員は適用対象外ですが、それでは安心して職務に従事できないですよね。もちろん、そこまで国は鬼ではありません。ちゃんと、代替手段を設定しています。
それが「地方公務員災害補償法」です。ちなみに、国家公務員は「国家公務員災害補償法」です。今回は地方公務員災害補償法を中心に解説します。
(この法律の目的)
第一条 この法律は、地方公務員等の公務上の災害(負傷、疾病、障害又は死亡をいう。以下同じ。)又は通勤による災害に対する補償(以下「補償」という。)の迅速かつ公正な実施を確保するため、地方公共団体等に代わつて補償を行う基金の制度を設け、その行う事業に関して必要な事項を定めるとともに、その他地方公務員等の補償に関して必要な事項を定め、もつて地方公務員等及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。
この条文からわかるように、公務災害の補償をするために基金の制度を設けています。なお、基金については各地方公共団体の負担金によって賄われています。
臨時職員や非常勤特別職は「地方公務員災害補償法」対象外
ちなみにこの地方公務員災害補償法において対象としている「職員」は以下のとおりです。
(定義)
第二条 この法律で「職員」とは、次に掲げる者をいう。
一 常時勤務に服することを要する地方公務員(常時勤務に服することを要しない地方公務員のうちその勤務形態が常時勤務に服することを要する地方公務員に準ずる者で政令で定めるものを含む。)
二 一般地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第八条第一項第五号に規定する一般地方独立行政法人をいう。以下同じ。)の役員(同法第十二条に規定する役員をいう。第六十九条において同じ。)及び一般地方独立行政法人に使用される者で、一般地方独立行政法人から給与を受けるもののうち常時勤務することを要する者(常時勤務することを要しない者のうちその勤務形態が常時勤務することを要する者に準ずる者で政令で定めるものを含む。)
常時勤務に服する地方公務員となるので、臨時職員や非常勤特別職といった公務員は対象外となります。代わりに労災保険の対象となります。
よって、地方公務員も怪我しても補償を受けられるわけですが、給付を受ける場合は申請する必要がありますので、職場の自治体の人事課に申請することを忘れないことです。
ちなみに公務員は労災保険はもちろん、雇用保険にも公務員が適用除外とされています。つまり、公務員を退職しても失業手当がもらえないのです。
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