なぜ地方公務員の世界では労働組合の執行役員が出世しやすいのか?

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労働組合というと、組合交渉というものがあることから、反対派、抵抗勢力という見方をする人もいますが、役所の世界ではちょっと特殊です。

というのも、私の役所の場合は、労働組合に加入して、執行役員となった職員は出世しやすい傾向があります

労働組合は、執行部と対立しているという認識をお持ちの方は信じられないかもしれませんが、実際そうなのですね。

では、労働組合の執行役員になったら出世しやすいのか?その背景には、地方公務員の世界特有の「力学」が存在するのです。

 

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労働組合の執行役員とは?

 

ほぼ100%ですが、地方自治体には職員団体(労働組合)が存在しています。組合は、各役所単位に組織され、執行委員長を頂点として、副委員長、書記長、書記次長という序列が存在し、その下に各職場、各部局ごとに置かれるの執行役員です。

 

執行役員は、その組合の規約上、何人という定足数が決まっており、職場によっては組合の推薦で決まります。(立候補する人もいますが、少数派です)

 

執行役員といっても、定期的に開かれる会合に参加して、今後の闘争方針(職員定数公用、賃金交渉など)を話しあったり、組合の広報誌を配布したり、アンケートやカンパのとりまとめ、イベントや研修の動員、運営などを行います。

 

私自身も職場の労働組合の執行役員を長年務めており、おそらく、私が辞めるというまで続くでしょう(汗)

 

出世しやすい組合は「御用組合」

 

執行部(首長・総務部)と賃金交渉や定数交渉などで対立しているイメージの労働組合ですが、実際のところ、執行部と裏では通じている場合も少なからず存在します

 

このように、執行部と癒着している組合は、一般的に「御用組合」と呼ばれており、ネガティブなイメージとして語られることがありますが、逆に執行部と距離が近いため、腹を割った話ができるというメリットもあります。

 

対立ではなく、共存共栄ということで、落としどころを見つけるという点でも、労使協調路線というのは、それはそれで評価できると思います。

 

そんな御用組合の執行役員の場合、出世しやすい傾向にあります

 

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御用組合の特徴を知る一番の方法は、元労働組合の委員長が、管理職に就任していれば、ほぼ間違いないでしょう。逆に対立関係であれば、上のポストには就けづらいからです。

 

地方自治体の出世を決めるのは、実力より幹部の認知度

 

では、なぜ御用組合の執行役員は出世しやすいのか?理由は簡単ですが、総務部の幹部、人事課長に名前と顔を覚えてもらいやすいからです。

 

まさか、と思うかもしれませんが、地方自治体の人事システムというものは、大都市圏のように昇任試験制度がほぼ確立されておりませんし、成果主義も採用しておりませんので、結局、評価されることは、幹部に顔を覚えてもらう」ということです

 

御用組合出身ということであれば、上司に牙を剥く可能性も低いですし、曲りなりにも組合という組織で一定の役割を果たしており、どこの馬の骨かもわからない人間ではないという安心感です。

 

地方自治体の人事システムというものは、非常に不透明なところもありますが、昔から言われているように、上司の覚えめでたい職員が出世しやすいのです。

 

幹部の認知度が高い職員は、やはり上司の目にも留まりやすく、結果として出世する確率が高いのです。

 

組合の執行役員であれば、総務部長や人事課長といった人事を司る職員との懇親会も出席する機会も多く、顔を覚えてもらいやすいですよね。

 

同じ理屈で、幹部に顔を覚えやすい部門である人事課、財政課、企画課といったところは、日常業務として幹部と接するので、出世しやすいのは当然ですよね

 

 

ここまでのポイント

・人事評価システムが不透明な役所で、出世の決め手は「幹部の認知度」
・人事課、財政課、企画課のように幹部と接することが組合役員は多い

 

首長も労働組合には逆らえない?

 

先ほどは、総務部長、人事課長との関係で組合と出世を語りましたが、首長との関係でも労働組合の執行役員は出世に有利です。

 

というのも、労働組合によっては首長の選挙時に推薦することもあるため、首長も労働組合の動向を無視することはできません。

 

組織率が下がっているとはいえ、労働組合は政治家としては重要な集票マシーンであることから、ある程度の配慮を首長としてもするわけですね。

 

また、公務員の政治活動、選挙活動が一定、認められていることから、選挙のときには手助けしてくれることから、無視できません。

 

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実際、選挙後に組合のトップである委員長が、管理職である課長補佐に抜擢されたケースもありますし、これまで私の役所の委員長経験者は、課長ポストに就任するのが慣例となっています。

 

労働組合はその組織力を背景に、総務部はもちろん、首長にある程度の影響力を持つことができるゆえ、その執行役員というのは、自覚していない人も多いですが、ある意味で有利な役職といえるでしょう。

 

ここまでのポイント

・公務員労組は、組織力を背景に投票によって影響力を行使できる
・公務員でも一定の範囲内で、選挙活動でも大きな原動力になる。

 

意外とおいしい?組合の執行役員

 

役所に入ったら、任意とはいえ、役所への加入がほぼ空気として義務付けられているところもあり、断れない場合もあるかもしれませんが、その時は逆手にとってはどうでしょうか。

 

私の場合、最初イヤイヤながら組合の執行役員を担いましたが、今では、楽しく組合活動を続けながら公務員をしておりますしね。

 

執行役員というと「貧乏くじ」と考える人がいるようですが、私自身、無料で県外に研修に行けたり、執行役員としての行動費(役員手当)がもらえたりするので、役得も多いことから、案外気に入ってます。

 

 

労働組合のメリットや実利的なことは、過去の記事をご覧ください。

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