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公務員の投資に損切りの言葉は無い?青森「アウガ」の投資が失敗した理由

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本日は、公務員の仕事の一つとして行われる地方活性化のための投資的事業について書きたいと思います。

 

投資的事業として有名なものは、ハコモノ建設に代表される公共事業ですね。

 

これらハコモノ事業は、数十億円という巨額の税金を利用することから、ある程度の需要見込や収支計画に基づいて実施されるわけですが、全国的にみても、あまり良い結果を残していない場合が多いように感じます。

 

そんな行政主体の投資における失敗事例としては、青森市が実施した複合商業施設「アウガ」が有名どころでしょう。

 

今回はそのアウガの失敗を参考として、そもそも、なぜ公務員は投資の失敗しやすいのか?というところにスポットを当てて考えてみたいと思います。

 

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行政の投資事業の失敗例「青森市のアウガ」

 

ここで行政のハコモノ事業で失敗した事例として有名なものが、青森市で行われた青森駅前の複合商業施設「アウガ」です。

 

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Festival City AUGA | フェスティバル シティ アウガ
フェスティバル シティ アウガ JR青森駅前 青森県青森市新町1-3-7 地階は新鮮市場 1階~4階ショッピングゾーン・レストラン 5・6階青森市男女共同参画プラザ「カダール」 6階~8階青森市民図書館の複合施設

 

アウガは地下1階から地上9階の巨大な複合商業施設であり、空洞化した青森駅前の活性化を目的に、青森市が整備して、運営は青森市の第三セクターが運営しました。

 

このアウガの総事業費は185億円であり、青森市の持ち出し分が85億円でした。一般会計予算規模が1200億円程度の青森市にとっては、まさにビックプロジェクトといっても過言ではなかったでしょう。

 

 

 

第3セクターである「青森駅前再開発ビル株式会社」に対して、8億円の出資、23億円を貸し付け、副市長も配置しており、以下に力を入れていたかがわかります。

 

参考

https://www.city.aomori.aomori.jp/koho-kocho/shiseijouhou/aomorishi-konnamati/shityounoheya/kisyakaiken/heisei28/documents/rinji20160506-02.pdf

 

 

そんな大事業でしたが、結果は、見事に大失敗しました。

 

当初の年間売り上げ見込み額は、52億円でしたが、ふたを開けてみると、半分程度の23億円にとどまり、最終的には2億円の赤字となりました。

 

その後も、イベントを行うなどして客足を増やす努力をしても、結局は赤字を垂れ流し続けました。

 

2001年に開業したアウガですが、当初から赤字を垂れ流し、2015年に24億円の債務超過に陥り、2016年に事実上破綻しました。

 

なお、2010年に2億円の追加融資、5億円超の増資といった追加投資を行いましたが、結果的に傷口を広げるだけとなりました。

 

アウガが新設されてから、再生計画が2次にわたって策定され、再生PTの検討を踏まえて、現在は、複合商業施設から青森市役所の庁舎機能を移転して延命しております。もはや、当初の目的である複合商業施設という役割はもはや困難という状況です。

 

 

失敗の原因はいくつか指摘されていました、端的にいえば、甘い需要見込み、集客見込み、身の丈に合った巨額投資です。

 

 

アウガを民間主体で3セクで運営したものが困難として、公営化して行く方向に大きく方向転換したわけですね。

 

 

ここで、出てくる疑問としては、「なぜ、青森市は早期にアウガ事業からの撤退、損切ができなかったのか??」ということです。

 

そこに、まさに行政の投資が失敗しやすい特徴があるのです。

 

失敗しやすい行政の投資スタイルの特徴とは?

 

実際に商工部門、経済部門で産業政策に携わった公務員ならば、こんな言葉を聞いたことがないでしょうか?

 

「一度走り出した機関車は止められない」

 

これは、一度GOサインが出てしまった事業は、途中で雲行きが怪しくなったとしても、当初想定した需要見込みが外れそうになったとしても、もはや誰も止めらないことを比喩する言葉です

 

先ほど紹介したアウガについても、オープン当初から赤字を垂れ流しているのだから、普通の民間企業ならば、撤退もしくは計画の見直しを図るところですが、結果として、アウガの赤字を止めることはできませんでした。

 

むしろ行政の最大の関心事は、「いかにお金を支出するか」ということに目が行きがちなのです。

 

大きな事業を行い、住民向けに自治体の仕事ぶりをアピールするとともに、地元経済に雇用を作り出すことに関心があります。

 

その後のフォローアップ、費用対効果に対して無頓着な場合が多いのです。

 

それに失敗を認めるということは、市長はもちろん、市の幹部、担当者全員の進退に関わることなので、決して失敗を認めない。いわゆる、「失敗を認めたら死ぬ病」に陥るわけですね。

 

なので、自分の任期中は問題を先送りして、見て見ぬふりをすることになるわけです。まあ、ここらへんは公務員の限らず、大組織ならば、よくある話なのかもしれませんが。

 

また、国費や県費といった外部の特定財源を使うと、処分制限期間が発生して、やめたくてもやめられないという制度の縛りもあります。

 

だいたいの補助金の交付要綱には、処分制限が定められています。鉄筋鉄骨造ならば20年、木造なら10年は処分できないというものですね。

 

それに、国や県サイドの担当としても、補助金を出したことで、自分の審査能力を問われることもありますので、市と同じく、国や県も失敗と認めないわけです。

 

誰も失敗の責任を取らない、無責任体制がここに誕生するわけです。これの極めつけが青森市のアウガということになるわけです。

 

最後に、これをいうと、身も蓋もないのですが、所詮は役人ですので、民間ディベロッパーのような開発経験もなく、需要見込みも机上の空論にしかなりません

 

補助金を審査する国や県の役人も、市職員に比べたら高学歴で優秀な人も多いのかもしれませんが、その事業が儲かる事業かどうか、集客に結び付くかなんてわからないわけです。

 

 

 

失敗の原因まとめ

・補助の制度上、事業の撤退、早期の損切ができない
・組織の性格上、失敗を認めることができない
・役人に需要見込みを作ることはほぼ不可能

 

参考記事

3セクの駅前再開発「青森アウガ」経営破綻、官主導の再開発は限界なのか | ZUU online
青森市の第三セクター「青森駅前再開発ビル」が運営する複合商業施設「アウガ」が事実上の経営破綻に陥っている問題で、副市長2人の相次ぐ辞職など市政の混乱が深刻化しています。市はアウガから商業施設を撤去し、
青森駅前再開発ビル/青森市の第三セクター、特別清算で負債32億円
帝国データバンクによると、青森駅前再開発ビルは7月5日、青森地裁へ特別清算を申請した。負債は約32億790万円。 駅前再開発を進める青森市が36.6%出資し、1992年4月に設立された第三セクター。

いつかは花開くという希望を捨てる勇気が大事

 

アウガの事例は、行政の投資の失敗ケースとして、これからも語り継ぐ必要があり、十分にこの教訓を噛み締める必要があります。

 

アウガも2001年の開業から2016年の撤退まで15年かかっているわけです。

 

10年以上続けたのは、いずれ景気が回復して、客足も回復して黒字に好転するという希望にも似た思いがあったかもしれません。

 

しかし、その見込みは、単なる思い込みにすぎなかったわけですね。

 

とはいえ、地方の実情として、何科をしなくてはいけないという危機感が広がっており、私自身、地方公務員として働きながら、その危機意識は痛いほどわかります。

 

しかし、闇雲に投資をして、身の丈に合わない巨額投資は、かえって地方の再生どころか、地方の寿命を短くすることになりかねません投資である以上、撤退、損切という視点が大事になってきます。

 

それに加えて、損切をせずに、追加投資をして再建を図るというのも、ある程度の見込みがないと、ただの株式投資でいうところの「ナンピン買い」にしかなりません。

 

ナンピン買いは、傷口を広げるだけで、株式投資の世界ではハイリスクな手法です。

 

撤退のシナリオも用意しておいたうえで、行政も投資を行うべきなのですが、そもそも行政の辞書には無いことが、失敗の本質なのかもしれませんが。

 

 

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